受動攻撃をする人の傾向

「悪意を持った見えにくい攻撃」はどのように見極めるのか。これは難しいところです。特に相手に悪意があるという先入観を持たずに接した場合は、安易に相手の優しさや親しみやすさにのまれてしまい、冷静な判断が難しくなってしまう場合が多々あります。

 そこで、「受動攻撃」的なコミュニケーションをする人の傾向を知っておきましょう。私が見てきた限り、次のようなものがあります。

・日頃は口数が少なく丁寧な言葉遣いをする
・おとなしめのいい人タイプ
・喜怒哀楽をあまり表現しない
・人付き合いが表面的で深い付き合いはない
・幼少期の家族関係が良くない(毒親育ち・両親の離婚)
・アルコール依存、買い物依存などの各種依存症の傾向がある

 ケースバイケースではありますが、私の今まで見てきた受動攻撃タイプの人で圧倒的に多いのは、幼少期に支配的な親に育てられて、自分を表現したり、自分の欲求や感情を出したりすることを禁止されてきた人です。

 なぜなら、親に嫌だなどと言おうものなら、否定や拒絶され、見捨てられて孤立させると脅されてきたからです。だから自分の本音を言ったら、見捨てられ生きていけないという恐怖を無意識に感じてしまうわけです。

 その恐怖を避けるために、支配者に服従しながら顔色をうかがう一方、関係のない相手には遠まわしの攻撃をすることで、ある意味本人の心はバランスを保っているともいえます。

 嫌いといえない代わりに、嫌いというメッセージを行動で示すこと。

 これが受動攻撃の本質ですが、ある意味出せない相手に対する怒りを関係のない相手にぶつけて解消する「怒りの置き換え」という心理でも説明できます。

 本人にとってはこれまで抑圧してきた怒りや悲しみ、恨み、憎しみ、敵意などを関係のない相手に使うことで過去の葛藤を解消しています。そうすることで自分の心のバランスを取っています。

 しかし、攻撃される相手からすれば何も関係のないわけですから、非常に迷惑です。