「笑顔、穏やかに過ごす」対処法が、関係を悪化させる

 怒りを直接表現しない嫌がらせや、巧妙な意地悪や受動的な攻撃などは、わかりにくくて目には見えません。そのため攻撃を受けた側が指摘したり、非難したりすることは難しいものです。そのような攻撃を受けたときにどうしたらいいのでしょうか。

 その対処法として多くの人は次のように考えます。

「笑顔でやり過ごす」

「波風を立てずに、穏便に、平穏を保つこと」

 しかしどうでしょう。

 現代はパワハラ、モラハラをはじめ、最近ではモンスタークレイマー、カスタマーハラスメント、モンスターペアレンツ、モンスターペイシェントなど、新しい言葉が次々と生み出されています。それくらい現代人はストレスの処理ができずに、未解決の自分の葛藤や怒りの矛先を関係のない他人に向けて発散してしまうのです。

 そして、このようなハラスメントを行う人々というのは、誰にでも迷惑行為や嫌がらせをするわけではありません。

 その「ずるい攻撃」の矛先は、必ず自分より弱いものに向かいます。なぜなら、絶対に反撃してこない立場の弱い人を、無意識に選んでやっているからです。

 自分の妻や夫、子ども、親、パートナー、親しい友人、同僚や部下、タクシーの運転手、コンビニの店員、スーパーのレジ係、電話オペレーターなど、立場上弱い人に吐き出す傾向にあります。

 その被害を受けた人は、相手に逆らって反論したり、対立したり、諭したりすればするほど、相手は激昂し、よりひどい暴言や威嚇行為などになる場合もあります。

 そして、被害にあった人が心を病んでしまうようになります。

受動攻撃や意地悪をしてくる人への対処法

 では、明確な意図を持った悪意のある攻撃的な言葉をぶつけられたり、嫌味や嫌がらせをされたりする場合、どのように対処したらいいのでしょうか。

 私がいつもお伝えしているのは、“自分自身が「相手の下」に潜り込まないように注意する”ということです。

 受動攻撃をする人、意地悪する人、悪意を明確な意図として持って攻撃してくる人は、無意識的にも意識的にもターゲットを選んでいます。