頂き女子の「カモ」マニュアルを逆転させたら、全人類が目指すべき理想像が完成したSNSなどで「頂き女子りりちゃん」と名乗っていた渡辺真衣被告(本人のYouTubeより) Photo: JIJI

「頂き女子」が詐欺のターゲットを選定するマニュアルを逆手にとって、「頂き女子に頂かれない人になる方法」を作成したところ、Xで拡散され「誰もが目指したい理想の姿」「コレ全部持っているの大谷翔平」「ホストやロマンス詐欺の対策にもなる」といった反響が寄せられました。頂き女子の術中にハマらないいためには、どんな点に気を付けるべきなのでしょうか? (エンタメ評論家 徳重龍徳)

「頂き女子」同情論と被害者バッシング 

 ことしの節分、広島市の住吉神社の厄払いの神事で、赤鬼や貧乏神とともに祓われたのが「頂き女子」でした。昨年の流行語大賞の候補にもなったこの言葉は、マッチングアプリなどを通して恋愛感情を抱かせた男性に「借金で困っている」といったウソをつき、金を巻き上げる女性を指します。

 この「頂き女子」の生みの親とも言われているのが、「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告。3人の男性から合計1億5000万円以上をだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われていた渡辺被告に対し、名古屋地裁は4月22日、懲役9年・罰金800万円の実刑判決を言い渡しました(渡辺被告側は5月1日に控訴)。

 渡辺被告はマッチングアプリなどで知り合った男性たちから金を騙し取っただけでなく、男性を詐欺にかける方法を記した「みんなを稼がせるマニュアル」などを1セット3万円で、およそ1000人に販売したと報じられています。ほかの頂き女子が男性から現金をだまし取るための手助けをしたとして、詐欺ほう助の罪にも問われていました。

 家庭環境に恵まれず、詐欺で稼いだ大金をホストに貢いでいたこともあり、渡辺被告には判決前から一部で同情的な声が上がっていました。

 一方、3800万円を渡した被害者の50代男性は、メ~テレ(名古屋テレビ)の取材に対し「大嫌いというか、憎しみしか残っていない」と答えたのですが、この被害男性に対しては「なんで50過ぎのジジイが25歳の女の子と本気で恋愛できると思ってるの?」「復讐として、女性の20代後半〜30代前半の自由を奪うってわけ?」と誹謗中傷が飛び交う状況となっています。

「どうにも理不尽な状況だが、はて、頂き女子に引っかからないためにはどうしたらいいのか」

 そんな思いにかられたときに目についたのは、頂き女子の手によって作られたとみられる「おぢの見極め方」というマニュアルでした。