疑問1
どんな人たちが使っているのか?

 セブン-イレブンのデリバリーサービス『7NOW』の紹介画面では「あっ!会議でランチ行けない」「あっ!リモコンの電池がない!」「あっ!間食のストックがない!」と困った顔で頭をかくひとたちの画像が見られます。広告代理店が作るこのような宣伝コピーは、一般にクライアントであるセブンイレブンの意向に沿ったものです。

 言い換えると、この3つのシチュエーションはこれからコンビニがデリバリー利用を拡大したい主な使われる場面をイメージしています。

「あっ!買いに行けない。」「あっ!今すぐ欲しい!」人たちにコンビニデリバリーを使って欲しいと呼びかけているわけです。

 ウーバーイーツや出前館に代表されるデリバリー市場はコロナ禍前には年間4000億円程度だったところから、コロナ禍で8000億円市場とほぼ倍になりました。この状況はアフターコロナでも続いていて2023年には市場規模は8600億円とまだ成長を続けています。

 ただデリバリーを日常的に使うユーザーの分布は偏っていて、調査によって違いはありますが毎週使う人は1割程度、毎月使う人で3割程度と消費者全体から見れば少数派です。

 家計簿アプリZaimによれば、地域差も偏っていて首都圏、関西圏、愛知、福岡など大都市部では6割以上の人が使っている一方で、地方の県では利用者が2割以下の県もたくさんあります。

 セブン-イレブンやローソンのデリバリー対応店舗の地図上の位置を確認していくと、基本的には都市部の人口密集地からサービスが始まっていることがわかります。

 ここからふたつのことがわかります。徒歩圏内にコンビニがあるエリアなのに買いに行くことができない忙しい人がいるということと、人口密集地だからこそデリバリーにそれほど時間がかからないということです。

 デリバリーの利用状況を同じく家計簿アプリZaimの調査からひもとくと、2023年4月のフードデリバリー利用ユーザーの平均は、一回1923円、月3.4回利用。約半数の理由が外出が面倒なとき、22.5%がおうち時間を楽しみたいときといった利用状況になっているようです。

 コンビニデリバリーの場合も客単価は店舗の約3倍で、店舗で普通に売れている日常品が売れているそうです。つまり多少割高なのは承知のうえで配達の利便性を買っているひとたちが都会には一定数いるということです。