【家計直撃】作りすぎの「国産トマト」価格が下がらないワケ、背景に便乗値上げも?写真はイメージです Photo:PIXTA

昨年来、トマトや加工品の値上げが相次ぎ、「トマトショック」「トマトパニック」などと騒がれている。日々の食卓に欠かせないトマトは「夏野菜の王様」とも呼ばれ、産出額でみると、国内で生産される野菜全体の1割を占め、堂々の1位である。もはや「野菜の王様」と言ってもよさそうなトマトは値上げが予想されている。しかも、市場では供給過多にもかかわらずだ。経済理論に反する奇妙な事象はどうして起こっているのか。統計データと現場取材から見えた「日本農業の大問題」を取り上げる。(取材・文/農業ジャーナリスト 山口亮子)

輸入依存が招いた
「トマトショック」

 4月から「デルモンテ」ブランドのトマトケチャップやジュースなどが値上がりした。

 販売元のキッコーマン食品株式会社(東京都港区)によると、同ブランドの値上げ対象は82品目に及ぶ。値上げ幅は、希望小売価格で約5~23%に達する。

 同ブランドは昨年3月にも値上げをしていた。ケチャップやトマトジュースで国内シェア1位のカゴメ株式会社も、2月に家庭用の147品目を値上げしている。やはり同社も、昨年4月にも値上げをしている。

 包材といった資材費や人件費の上昇も一因となっているが、最大の要因は供給不足だ。新興国で需要が伸びていることと、米国やモロッコといった主産地での水不足などによる不作が重なった。

 トマトの加工品は基本的に輸入された原料を使う。2021年を例にとると、輸入された野菜のうち、重量ベースで31.9%を占める圧倒的1位は、トマトの加工品(ピューレ、ジュースなど、農水省調べ)。それだけに、加工品の価格には国際相場の高騰が直に影響する。

 ケチャップの価格改定はその実、2015年に始まっている。同年、およそ25年ぶりに値上げされた理由は、新興国を中心とした需要の伸びだった。これは今でも変わらないので、価格の上昇は今後も続くだろう。

補助金で
供給過剰の皮肉

 加工品売り場の値上げと裏腹に、青果コーナーのトマトの価格は落ち着いている。それは、青果は基本的に国産だからだ。

 むしろ、トマトの卸売価格は安値に傾いてすらいる。農水省の「青果物卸売市場調査報告」によると、ここ10年は1キロ当たり330円台前後で推移してきた。この間、肥料や重油、段ボールや包材といった資材費と人件費が値上がりしていることを考えれば、実質的には値下がりしているといえる。