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トップ営業マンの説得術

「説得上手」は「聞き上手」

テクニック2:相手の立場になって考える「カウセリング・テクニック」

榊 博文 [慶応義塾大学文学部教授/社会学博士]
【第12回】 2008年7月24日
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営業において、説得力・交渉力は不可欠なもの。これまでは自己流で身体で学ぶというのが主な方法でしたが、説得のメカニズムを「科学」しておけば、誰でも効果的に説得力を身につけられるのです。

 今回は、トップ営業マンたちが実践しているテクニックの2つ目「カウセリング・テクニック」について、ご紹介したいと思います。

相手に十分話させると
相手の態度が変わる

 人はどんな行動をするときに満足を見出すのでしょうか。人は自発的な行動に最大の満足感を覚えます。人を説得するということは、最終的には相手の行動の上での変容を期待することですが、効果的に説得する人は、決して相手に強制されているという感じを抱かせません。

 説得上手は相手を受容し、相手の要求を満足させ、相手が自ら変わりたくなるのを待ちます。相手の自発性を待つという意味では、説得は心理療法の原則と共通しています。

 その事例をいくつか紹介しましょう。

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【事例1】
宝飾品の販売をしていたとき、1ヵ月前宝石を購入されたお客さまが血相を変えてお店に飛び込んできました。というのも、お客さまが買われた商品の類似品がセール品として売り出されていた期間だったので、同じ値段にしてくれと談判に来られたのです。

私は事情を説明する前に、お客さまの言いたいことを全部吐き出してもらおうと思い、あいづちをうちながら、お客さまの目を見て聞いてあげました。すると、それで満足されたのか、冷静になりそのままお帰りになりました。
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 この事例の場合、お客さまを説得しようといろいろ説明していたら、かえってお客さまの怒りを増幅させていたかもしれません。相手の話をただ聞いてあげることが、相手の態度を変えるのです。

 心理療法自体は多くの専門的な知識・技術や訓練を必要としますが、基本的な考え方を日常生活に応用することは、それほど難しいことではありません。もちろん説得にも応用できます。心理療法の説得場面への応用としてお薦めしたいのが、「来談者(クライアント)中心療法」というものです。

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榊 博文 [慶応義塾大学文学部教授/社会学博士]

慶応高校から慶応義塾大学経済学部を経て、慶応義塾大学院社会学研究科博士課程修了。米国スタンフォード大学留学。専門は社会心理学。主として効果的な説得戦略、およびイノベーションの効果的な普及戦略に関する研究に従事。主な著書に『説得と影響―交渉のための社会心理学』『日本列島カルト汚染―説得と勧誘の社会心理学』(いずれもブレーン出版)などがある。


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