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出口治明の提言:日本の優先順位

社会変革の起爆剤になり得るマイナンバー制
スウェーデンの事例を虚心坦懐に学ぶべき

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第82回】 2013年4月16日
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 政府は3月1日、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」、いわゆる「マイナンバー法案」を閣議決定して国会に提出した。同法案は、現在、国会で精力的な審議が行われているが、マイナンバー制は、国民の自己情報コントロール権を尊重し、行政機関が個人情報を適切に取り扱うことができれば、行政手続きをシンプルにするという意味で、わが国の社会を大きく変える1つの起爆剤になる可能性を秘めているのではないか。

マイナンバーの活用は
2016年1月を予定

 法案によれば、2015年10月に全国民と中長期滞在の外国人に対して、個人の識別番号が通知され、2016年1月からマイナンバーの活用が始まる予定だ。顔写真付きの「個人番号カード」も付与されるという。当面は、納税や年金・健康保険の保険料納付・受け取り、生活保護や児童手当などの給付にマイナンバーが使われる。これによって、複数の役所に分かれて保管されてきた情報が一元化され、国民は様々な給付の申請に必要な書類等を入手するため、複数の役所の窓口を回って歩く必要がなくなり、利便性が大幅に向上しそうだ。また、行政コストの削減も期待できそうだ。

 しかしながら、この法案については、2004年に旧社会保険庁で発覚した多数の職員による業務目的外の国民年金保険料の未納情報等に関する情報漏洩のような心配が付きまとう。個人情報の保護という面から、マイナンバー制の導入を心配する考えがあることは当然だろう。このような背景もあり、今回は政府のどの機関が、いつ、自分の情報を提供したかが、個人でチェックできる仕組み(マイ・ポータル)や、行政機関から独立した委員会による地方公共団体などのチェックの仕組みが考えられている。

 こうした個人情報の取り扱いが適切になされることを前提にすれば、マイナンバー制は、各個人が社会保障の負担と受益をはじめとする自らの各種情報にインターネットを介して簡単にアクセスできる仕組みでもあるので、行政サービスのコストが下がるだけではなく、記載上のちょっとした誤りなど行政処理のミスもなくなると予想され、結果として市民生活に資するのではないか。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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