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日本を元気にする経営学教室III

半導体サプライチェーン寸断の教訓
トヨタ新戦略とルネサス再建の関連を再考する
――神戸大学大学院経営学研究科教授 松尾博文

シリーズ「オペマネの思考法」(4)

松尾博文 [神戸大学大学院経営学研究科教授],滝波純一 [ヘイ コンサルティング グループ プリンシパル]
【第8回】 2013年4月16日
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「オペマネの思考法」を解説するシリーズの第4回。東日本大震災で日本の製造業のサプライチェーンが寸断されたことは、壮絶な記憶である。最近、産業革新機構がルネサスエレクトロニクスへの出資を決定。トヨタ自動車が「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を公表。我々はここで何を学んだのかを考えてみる。

 昨年12月に産業革新機構とトヨタを含む民間企業8社が、計1500億円をルネサスに出資することを決定し、今年の3月末にトヨタは、「もっといいクルマづくり」に向けて、「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」を公表した。この2つの決定は関連していて、日本の製造業の将来を考える時の重要なマイルストーンになる。「オペマネの思考法」の第4回目の今回は、2年前の東日本大震災のサプライチェーン寸断の事例に立ち返り、2つの製造業の事業プロセスの相互関係という観点から、震災と2つの決定の意味することを考える。

サプライチェーン寸断の2つの何故

 日本で一番黒字を出しているトヨタと一番赤字を出しているルネサスは、車載マイコンと呼ばれる半導体のサプライチェーンでつながっており、その鎖が東日本大震災で寸断された。その結果、トヨタは3ヵ月間、国内生産台数が半数以下になるという事態に陥った。 

 このサプライチェーンの寸断の意味することを理解するために、車載マイコンとは何か、そのサプライチェーンはどうなっているのか、何故、トヨタの生産が回復するのに3ヵ月もかかったのかを理解する必要がある。一方、ルネサスは震災前から、財務状況は最悪であった。ここでは、何故、車載マイコンのサプライチェーンでつながっている2つの会社の業績がこうも違うのか、ということを理解する必要がある。

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松尾博文 [神戸大学大学院経営学研究科教授]

まつお・ひろふみ
京都大学工学部数理工学科卒業。1984年米マサチュ-セッツ工科大学大学院経営学研究科博士課程修了。米ペンシルバニア大学経営大学院客員準教授、米テキサス大学オースティン校経営大学院教授(Fred H. Moore Professorship)、筑波大学社会工学系教授を経て、2004年から神戸大学大学院経営学研究科教授。専攻はオペレーション・マネジメントとサプライチェーン・マネジメント。国際的学術雑誌の論文多数、編集委員を歴任。現在、日本オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会会長。

滝波純一 [ヘイ コンサルティング グループ プリンシパル]

たきなみ じゅんいち/京都大学工学部卒業、同大学院応用システム科学修士、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営学修士(MBA)。東レ株式会社、ボストン コンサルティング グループを経て、2009年より現職。2010年より同社コンサルティング部門責任者。医薬品、消費財、流通、情報通信等の幅広い業界に対し、グローバル人事制度構築、リーダー育成、M&A支援等、幅広いコンサルティングを実施。


日本を元気にする経営学教室III

【シリーズ「オペマネの思考法」/松尾博文】
オペレーションズ・マネジメント(オペマネ)は欧米のビジネススクールでは必須科目である。オペマネは、製造業とサービス業の事業プロセスを対象とする学問体系で、企業と組織の事業プロセスを中心に、製品、顧客、マーケティング、経営、戦略を考える科目である。本シリーズでは、オペマネの基本的な思考法を解説し、日本の製造業が陥っている問題点の解決策を、事業プロセスの見直しというオペマネの方法論から議論する。簡単な事例、極端な事例、理論と実践を取り混ぜて、論理的に考えるための糧(Food for thought)を提供することを目指す。

 

【シリーズ「カルチャー・トランスフォーメーション」/滝波純一】
企業文化は経営そのものである」というのは、1990年代に瀕死のIBMをよみがえらせたルイス・ガースナーの言葉である。多くの経営者は企業文化が業績に及ぼす影響がいかに大きいか知っている。一方で、企業文化を変革することが、いかに難しいかも、多くの人の知るところである。近年、人事・組織の領域では、日本よりも、海外の方が一歩進んでいると言わざるを得ないのだが、海外では「カルチャー・トランスフォーメーション」として、多くの企業が企業文化の変革に取り組んでおり、そこから有効な方法論も見出されつつある。事業環境が激変する中、日本企業にとっても企業文化の変革は喫緊の課題であり、海外での取組・確立されつつある方法論から学ぶべき点が多いのではないだろうか。本連載では、「カルチャー・トランスフォーメーション」について、紹介していきたい。

 

「日本を元気にする経営学教室III」

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