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田中秀征 政権ウォッチ

TPPはあくまでも経済・貿易問題
外交・安保を意識し過ぎてはいないか?

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第179回】 2013年4月18日
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 TPP交渉参加に向けての日米の事前協議が決着。日本は7月の全体交渉会合から参加できる見通しとなった。

 それにしても、日本は米国に譲り過ぎたのではないか。特に自動車では、米国の関税撤廃は「最大限後ろ倒し」となり、10年以上経ても維持される恐れがある。

 米国の自動車関税の撤廃は、TPP推進論者の象徴的な案件で、「TPPに参加しなければ、自動車で韓国などにかなわない」と叫んできた。

 どうしてこうなったのか。「そうしなければ農産5品目を守れない」という声も聞こえてくる。しかし、こんなことでは農産5品目も危うくなる。

政治的、外交的意義が
垣間見られるTPP参加

 私が気になるには、安倍晋三首相と日本政府が、TPP参加の政治的、外交的意義を必要以上に重視しすぎているのではないかということ。安全保障面での意義を過大に意識し、考慮しているように見えることだ。

 2月の日米首脳会議で、安倍首相はオバマ米大統領にTPP参加の意向を明言した。そしてその後、幾度も安全保障上の意義が大きいことを強調した。

 首相が言う安全保障上の意義とは何か。

①まず、普天間移設問題で米国に迷惑をかけているから、TPPで譲って、日米同盟を再構築する。

②中国抜きの経済圏、貿易圏を築き、中国の政治的、経済的、軍事的な勢力拡大を牽制する。

③将来は米国が東太平洋諸国の盟主、日本が西太平洋諸国の盟主となって環太平洋地域の共同体を形成する。

 そんな思惑が背景にあるように見える。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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