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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

チャレンジャー社員の魂を奪い去る職場の力学とは?
“仕事から学ぶ意義”を見出せぬ無責任時代への警鐘

――処方⑳チャレンジする社員を潰すも引き上げるも上司次第

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第20回】 2013年4月24日
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「それ、まだ何も聞いてないです」
やる気のない新人の言葉に隠された真意

 最近、ある企業の女性社員Aさんから聞いた話だ。

 Aさんは、あるプロジェクト専門の総務兼経理担当で、もう10年近く担当してきた。彼女には、同じく10年近く働いてきた同僚がいて、2人3脚で仕事をこなしてきた。プロジェクト自体が特殊な業務なので、他の人に任せるのは難しかったそうだ。

 その同僚がこの春に異動になった。新人が来てもすぐには使い物にならないため、Aさんは春から実質的に1人で業務を回さなくてはならず、その覚悟もしていた。

 新人にはいわゆる「派遣社員」が雇われる予定だったため、新年度になるぎりぎりまで人事は難航していたそうだが、土壇場で決まった人物が、他社の同種のプロジェクトで働いていた経験のある人だったため、Aさんの上司も含め、皆喜んでいたという。

 実はAさんは、夫が夏に海外赴任することになり、6月までに引継ぎを済ませたかった。仕事のことが全くわからない素人が来たのでは、引継ぎだけで、数ヵ月かかる。そのことを考えれば、経験者が来てくれるのはまさに「渡りに船」だった。

 新しく入った人物も女性で、Bさんといった。Bさんは性格も社交的で、人間的に問題はなかったのだが、彼女が職場に来て2週間ほどで態度が大きく変わった。

 というのは、引継ぎに必要な情報を話しても、翌日には「聞いてません」「存じません」と返答が返ってくることが多くなったからだ。Aさんは、その後口頭ではなく、メールで用件を送るようになったが、「あ、メール見てませんでした」「そんなメール、受け取ってないです」といった具合で、全く仕事を覚える気がないように感じる。

 上司から何か聞かれても、「それ、まだAさんから何も聞いてないです」と答えるため、Aさんは上司から「ちゃんと引継ぎをやってくれ」と言われた。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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