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「就活」に規制はない方がいい

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第277回】 2013年4月24日
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企業や学生にとってはストレスに
就活後送りは何を改善するのか?

 安倍首相は経済団体に、平成26年度大学卒業者の採用から、現在おおむね大学3年生の12月から始まっている採用活動の開始時期を、4年生の3月に後送りするように要請し、日本経団連をはじめとする大手経済団体のトップはこれを受け入れるコメントを発表した。

 いわゆる「就活」の時期が遅くなる方が、学生が学業に専念できる期間が長くなるとして、大学側が就活時期の後送りを要望しており、政府がこれに呼応して今回の要望に至った。

 しかし筆者には、この就活後送りが何かを改善するようには思えない。むしろ、ルールが変わることで、これに対応する学生と企業両方にとって不確実性とストレスが増すだけではないか。

 学生の立場で考えると、就職の内定が遅くなるよりも、早い時期に内定を取ってしまった方が、勉強に集中できる面がある。大半の企業が大学の卒業を採用の際の条件にしているので、大学が学生にもっと勉強することを求めたいなら、カリキュラムの密度を上げて、卒業条件を厳しくすればいい。卒業できなければ就職もできない。さすがの学生君も勉強するだろう。

 しかし、就職が決まった学生はさっさと卒業させて、学生にとって楽な物わかりのいい大学として学生におもねりつつ、次の受験者・入学者を募っているのが、多くの大学の実質的な経営方針であるように見える。

 学生が勉強しないことの根本原因は、教師の質も含めて、大学の側の方針にある(質の低い大学を認可し続けている文科省の問題もあるが)。学業の、ひいては卒業生の「質」を上げることは、大学自身の努力でできることだ。「就活」を言い訳に使うな。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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