炭鉱の町に残る大規模な学校から、生徒数が一桁の山奥の分校まで、廃校には地域の気候や風土、社会背景が色濃く反映されている

 第2次「廃墟」ブームが到来しているという。

 2012年10月には『産業遺産の記録』(三才ムック)、12月には『廃校遺産』(ミリオン出版)が発売され、廃れゆく建造物の魅力やその痕跡を残そうとする動きが盛んだ。現代に生きる人間は、廃墟のどういったところに魅力を感じるのか──。

 廃墟ブームの第一波は、1998年ごろに訪れた。インターネットの普及に伴い、個人の趣味嗜好が他人にも広く受け入れられ始めたことで、廃墟の価値と歴史性の魅力に気づいたファンがウェブサイトを開設。彼らの濃密な情報交換にメディアが注目し、雑誌や写真集を通じて、廃墟の神秘性や世界観を広めていった。

「廃墟に興味がある人は、以前から一定数いたと思います。ただ、心ない人たちに“いい廃墟”を傷つけられるのを恐れ、限られた輪の中でしかつながりを作りませんでした。そんな閉鎖性を壊したのがインターネットです。SNSを通じて廃墟好きが出会い、写真や文章でその美しさ、産業遺跡としての価値を伝えようとする人が、いまなお増えています」

 このように語るのは、10年以上にわたり、廃墟をテーマとした撮影活動を続けている芝公園公太郎さん。芝公園さんが写真を提供した写真集『廃校遺産』(ミリオン出版)が出版されたばかりだ。

「廃墟をテーマに創作活動をしている人は、数多くいらっしゃいます。そうした方々から写真を提供してもらい、1冊にまとめたのが今回の『廃校遺産』です。さまざまな理由で閉校してしまった学校の歴史を追っています」(芝公園さん)