4月18日から牛丼並盛りの価格を100円値下げした吉野家は、「うまくて安い」吉野家ブランドを取り戻したい考えを強調している。一方で、すき家や松屋も期間限定で30円の値引きを実施。牛丼業界では、再び値下げ競争が盛り上がりそうな気配だ。おいしい牛丼を安く食べられることは、消費者にとって嬉しいことだ。しかし、依然としてデフレが続くなか、自社の体力をかけてビジネスを行なう外食チェーンにとってみれば、必ずしも最善の策とは言えないだろう。値下げ以外に消費者を魅了できる方策を見つけることが、今後の課題と言える。そこで考えたい課題が、「なぜ女子は牛丼店に1人で入りづらいのか」ということだ。女性をはじめとする幅広い顧客層のさらなる取り込みは、各社にとってビジネスの機会損失を防ぐ意味でも、重要ではなかろうか。各社がどのような女性客の開拓戦略を練っているのかを、詳しくリサーチしてみたい。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)
吉野家の値下げで思い起こした素朴な疑問
なぜ女子は1人で牛丼店に入りづらいのか?
かつて牛丼チェーンが「値下げ競争」に沸いた頃と比べると、牛丼店の集客力がややさみしくなっているようにも見える。吉野家、松屋、すき家の2012年度既存店売上高前期比は、いずれも前年割れだった。
そんななか、業界を象徴する存在だった吉野家が、4月18日から牛丼並盛りの価格を380円から280円へと100円値下げしたことが、話題になっている。同社が「並盛」を280円へ引き下げるのは、2004年にBSE(牛海綿状脳症)騒動で牛丼の販売を一時中止して以来のことだ。
2013年の商品戦略発表会の場で、同社は「うまくて安い」吉野家ブランドを取り戻したい考えを強調した。「並盛280円」の低価格戦略で先行していたすき家、松屋に対する危機感の表れともとれる。
吉野家ばかりでなく、4月に入ってすき家、松屋もそれぞれ期間限定で30円の値引きを実施。アベノミクスで物価上昇への見通しが強まる一方、牛丼チェーンでは再び値下げ競争が盛り上がりそうな気配だ。
おいしい牛丼を安く食べられることは、消費者にとって嬉しいことだ。しかし、依然としてデフレが続くなか、自社の体力をかけてビジネスを行なう外食チェーンにとってみれば、値下げは必ずしも最善の策とは言えないだろう。値下げ以外に消費者を魅了できる方策を見つけることが、今後の課題と言える。
そんななか、筆者は常々感じていた素朴な疑問を思い起こした。それは、「なぜ女子は牛丼店に1人で入りづらいのか」ということだ。