HOME

メタボリック

肝臓

腰痛・肩こり

高血圧・高脂欠症

うつ・ストレス

ニオイ

薄毛

老化防止

禁煙

男の病気

顧客サービス業は要注意
バーンアウトと心臓病リスク

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第147回】

 日本で燃え尽き症候群(バーンアウト)というと、大きな課題を克服した後の空虚な心身状態、と捉えることが多い。

 しかし、これは誤用。本来は医師や一部の営業職など高いスキルとモラルを要求される顧客サービス業従事者に特有の症状を指す。このバーンアウトが心臓病のリスクになる、という研究が米精神身体医学会の機関誌に報告された。

 調査対象者はイスラエルにある健診センターを受診した19~67歳の男女8838人。調査開始時点に「バーンアウト調査票」を使い、燃え尽き度を記録。その後の心臓病発症との関連を解析した。

 その結果、平均調査期間の3~4年後に心疾患を生じたのは93例で、「燃え尽き感」を意識していた人は年齢や性別、喫煙歴といった影響因子を排除しても、「燃え尽きていない」人より41%、心疾患リスクが高まった。しかも最も「燃え尽き感」を感じていたグループでは、79%も心疾患リスクが上昇したのである。

 研究者はバーンアウトと睡眠障害、あるいは不安障害との関連を指摘した上で「バーンアウトは単独で心疾患のリスクになる」としている。

 バーンアウトの主症状は、(1)情緒的消耗感、(2)顧客に対する紋切り型、非人間的な態度、(3)個人的達成感の低下の3点。

 (1)は顧客の絶え間ない(と思える)情緒的な要求に気配りで応えることに「ほとほと疲れ果てた」という感覚だ。(2)はマニュアル的な対応と言い換えてもいい。逆説的だが、マニュアル対応で満足できる人は燃え尽きたりはしない。(3)は評価・報酬体系が曖昧な顧客サービス業のジレンマだろう。

 バーンアウトの発症リスクには「ひたむきさ」や「職務上の役割と自分の人格を切り離せない」不器用さがあるらしい。例えば、上司や顧客のクレームに「全人格を否定された」と思い込む性向は心臓と心身を危険にさらす。

 百戦錬磨の諸氏にバーンアウトは無縁かもしれない。しかし新年度の新しい環境によってはリスクが高まる。身を守る秘訣は、仕事に過度の期待を持たず、のめり込み過ぎないことだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

週刊ダイヤモンド

関連記事
このページの上へ

井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


専門医の監修を得て、あなたの症状に潜む病気の可能性を検証。カラダのアラームをキャッチせよ。


カラダご医見番

ハードワークのストレスに加え、飲酒や脂っこい食事。ビジネスマンの生活習慣は健康面からは実にハイリスクです。痛い・苦しい・痩せた・太った・イライラする…。そんな症状はどのような病気の兆候なのか?どんな治療が有効なのか?いきいきと働き続けるために、身体と病気に関する正確な知識が欠かせません。

「カラダご医見番」

⇒バックナンバー一覧