3月13日、経営統合後初となった中期経営計画では、「2015年までに世界最高水準の競争力を実現する」と打ち出した。競争の激化が必至の東アジアで、新日鐵住金は、いかに勝ち抜いていくのか。

新日鐵住金会長兼CEO 宗岡正二<br />海外での高炉建設については<br />為替レートだけで決まらないPhoto by Shinichi Yokoyama

──13年度から3年程度を対象とする経営計画では、15年度末をめどに君津製鐵所(千葉県)の高炉を1基停止することや和歌山製鐵所(和歌山県)の新型高炉の稼働延期などの施策が盛り込まれた。

 ものづくりの原点に立ち返って考えた。技術先進性をどのように確保するか。いかに新興ミル(小規模の鉄鋼メーカー)に負けない競争力を付けるか。そして、将来的に伸びていく市場にどうやってアクセスしていくのかが課題だ。

 1社単独では実現できなかったことを可能にすべく、盤石な経営基盤の再構築を目指している。

──経営計画には、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」という目標が掲げられている。総合力とは、何を指すのか。

 スケール、コスト、テクノロジー、カスタマーサービス、ソリューションで、計五つの要素に分解できる。そのうち、スケールは、ルクセンブルクのアルセロール・ミタルが世界のトップで、新日鐵住金は2位である。また、コストは、韓国のポスコに負けている。

 だが、それ以外の三つの要素は、われわれが世界一の水準だ。ミタルは、新日鐵住金の2倍以上のスケールなので、目の前の課題は“コスト競争力”を徹底的に強化することにある。それも、東アジアで勝ち残れる競争力を身に付けたい。

 例えば、ポスコが2.7という世界最高水準の「出銑比」(高炉内の容積1立方メートル当たりの1日の出銑量)を誇り、それがコスト優位性の源泉であるのなら、われわれもチャレンジしない手はない。安定操業には高い技術やノウハウが問われる。