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森信茂樹の目覚めよ!納税者

国民に番号を振るマイナンバー導入へ
税務調査にどこまで活用すべきか

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第49回】 2013年5月13日
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 国民一人ひとりに番号を振るマイナンバー法が衆議院を通過した。参議院の通過も予定されており、2016年から、国民一人ひとりに住民基本台帳に基づく番号を割り振って、年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務の6分野での活用する、番号制度が始まる。

 個人個人に生涯変わらない番号が交付され、それを活用することにより、本人の申請を前提にしたこれまでの行政サービスの在り方をかえ、国民に利便性の高いサービスを構築することができるようになる。

 一方、番号の活用が限られているではないか、目に見える利便を示すべきだという批判がある。もっともな話だが、今回の法律成立の意義は、番号というシステムを構築した、つまりハードウェアを導入したということである。

 今後どのように行政に役立てるのかという点は、基本的にこれからの議論である。私としても、実際に稼働する2016年までに、いろいろな活用法を提言していきたい。

税務にどのように活用されるか

 税務に活用する番号という見地からは、「正確な所得の把握」が要求されている。以下その観点から、税務における番号の活用について考えてみたい。

 まず、税務当局は番号をどのように活用するのか、そのメカニズムについて説明する。

 現在、税務当局は、納税者が所得を得る様々な取引について、相手方である給与支払者や金融機関などから、支払調書の提出をすることを法律で義務付けている。たとえば給与の源泉徴収票、配当の支払額、30万円を超える株式譲渡(の事実)などが、それぞれ会社や証券会社から税務署に報告される。

 一方で納税者は、給与、配当、株式譲渡益などを税務署に申告する(給与については年末調整があり、配当・株式譲渡益については特定口座の場合は申告不要)。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

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