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アマデウスたち

上原ひろみ
世界の巨匠たちが愛した才能

週刊ダイヤモンド編集部
【第26回】 2008年4月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
上原ひろみ
写真 加藤昌人

 チック・コリアにアーマッド・ジャマル。ジャズピアノ界の巨匠たちが、その才能を愛し、育んだ。

 1996年、東京・目黒のヤマハ音楽振興会。レッスンを受けていた17歳の上原ひろみは、コリアがたまたまそこを訪れていることを知る。「ひと目会いたい」と無邪気にせがんだ。「なにか即興で弾いてごらん」。夢中で鍵盤をたたいた。コリアはおもむろに、もう一台のピアノで応えた。

 翌日のコンサートに招かれた。最後の演奏にさしかかったとき、コリアは舞台の上から上原の名を呼んだ。巨匠と若き才能の夢の競演。「コリアの演奏をベストポジションで聴けたことだけで、幸せだった」。

 「いろんな国の人びとと音楽で会話したくて」、ボストンのバークリー音楽院に進んだ。担当教官の一人はジャマルの古い友人だった。彼女の編曲の才能に興奮した教官は、電話口でデモテープをジャマルに聴かせた。翌週、ニューヨークでジャマルと会い、ジャズの名門レーベル、テラークとの契約が決まった。

 2003年、アルバムデビュー。これまで発表した4枚に収められたのはすべて自作曲。伝えたいことがある。ジャズにはこだわらない。「音楽にジャンルはない。あるのは心が震えるものと、そうでないもの、その二種類だけ」。超絶的な技巧と多彩な表現力を兼ね備えたシンデレラガールは、聴く者の魂を揺さぶり続ける。

(ジャーナリスト 田原 寛)

上原ひろみ(Hiromi Uehara)●ジャズピアニスト。1979年生まれ。6歳でピアノと作曲を始める。20歳で米バークリー音楽院に入学、在学中にアルバムデビュー、2003年首席で卒業。2006年度芸術選奨新人賞受賞。2007年『タイム・コントロール』発表。

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