「オペマネの思考法」を解説するシリーズの第5回目。今回はものづくり企業のサービス価値創造の前篇として、ものづくりという箱の中に入ったまま戦略策定をしている製造企業は、アウト・オブ・ボックスの思考法を取るべきであるということを論じる。ものづくりという箱の中での、現状維持の発想ではいけないということであるが、箱から出て考えることの危うさを指摘し、すっとんきょうな思いつきではなくて、合理的な解を見出すことを考える。その場合、価値創造ということに対する正しい認識が重要になる。

 価値ということに関して、「日本の製造業の高付加価値偏重はいけない」とか、「価値創造だけでなくて、価値獲得を考えよ」とか、「ワクワクするような製品を開発せよ」とか価値に関するいろいろな提言を見聞きする。もちろん、マーケティングでも、顧客価値は中心的なコンセプトである。

「オペマネの思考法」の5回目ということで、アウト・オブ・ボックス(箱から出て)の思考法ということを紹介する。自分の事業が所有する部分のビジネスプロセスのテリトリーを壁で囲った箱というものを想定する。この箱から出て、サプライチェーン全体のビジネスプロセスを俯瞰して、思考するということである。

 アウト・オブ・ボックスして考えよというと、とんでもなく奇抜、奇異な発想を求めていると誤解されそうだが、そうではなくて、合理的な解を導こうというものである。また、ものづくりの経営者がアウト・オブ・ボックスして、思考を試みる時に、ものづくりの価値観を捨てるべきではないだろう。

 今回は、オペマネ思考法の基盤となる観念的、抽象的な話になるので、言葉づかいを注意深くフォローしていただきたい。箱から出て考えるときに理念を置き去りにする危険があるので、何が理念であるのかを見極めてからにしたい。次回は、今回の観念的な理解を基盤として、ものづくり企業のサービス価値創造の具体的な話に移行する。

ものづくりの価値観

 ものづくりの現場で、QCDが重要であるということには、コンセンサスがある。  Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の3点で、改善を繰り返すということが強調されている。