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悪魔の対話術 ~ビジネスで「したたか」に成功する~
【第15回】 2008年8月26日
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内藤誼人  [心理学者]

相手のホンネを探る時は、室温は「やや高め」に

 「温度」というのも、私たちの心理に影響している。常識的に考えてみても、暑すぎる部屋や、寒すぎる部屋では、どちらも私たちは、「もう話なんて、していられない」という気分になるだろう。つまりは、「部屋の設定温度」を巧妙に操作することで、相手の口を割りやすくしたり、逆に、沈黙させたりできるのだ。

 グリフィットという心理学者は、模擬的なインタビューをするという名目で、実験に参加してくれる人を集めた。見知らぬ人たちを集めて、インタビューという名目での、話しあいをするという実験である。それだけの実験なのだが、グリフィットは、だれにも内緒で、こっそりと部屋の温度をあれこれと変えてみた。

 その結果、この実験では、部屋の設定温度を32℃以上にすると、参加者たちは、インタビューで質問されたときに、答えるまでの反応が鈍くなっていた。あまり頭がぼんやりするような蒸し暑い状態では、人はあまりしゃべらなくなっていたのである。

 たしかに、真夏のジリジリするような暑い日の屋外や、サウナの中では、人は、会話をしなくなる。筆者も、サウナが好きだが、サウナの中では、だれもがみな静かにしているものである。暑いところでは、人は無口になるのだろう。

ホンネを探るには、
「やや暖かい」くらいがベスト

 では、寒くすればいいかというと、それも違う。「冬」は、人があまりしゃべらなくなる季節であるように、寒いところでも、私たちは口をきかなくなる傾向があるからだ。

 結局のところ、人のホンネを探り出すのに一番好ましいのは、「やや暖かい」と感じる状況である。夏ならクーラーで冷やし過ぎないように、冬ならややポカポカするくらいがベストだ。

 ロールズという研究者が年代別に調べた調査では、人が快適だと感じる温度は、時代とともにどんどん高くなっているという。

 たとえば、アメリカの場合だと、1924年には、17.7℃が一番気持ちよく感じる最適の温度だったが、1929年には18.8℃、1950年には20.0℃、1960年には21.5℃、1972年には24.4℃と、年代順にあがっていっているという。つまり、どんどん私たちは寒がりになっているのだ。

 この意味でいうと、温度で考えると、「やや高め」がいいのではないかと推測できる。もちろん、頭が朦朧とするような暑さになると逆効果であるが、少し高めくらいだと、相手も快適になって、会話をしてくれるのではないかと考えられる。

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内藤誼人 [心理学者]

慶応義塾大学社会学研究科博士課程修了。(有)アンギルド代表取締役。現在は、企業研修や講演等で、心理学の法則をもとにした人材育成や販売促進、企画力促進などに力を注いでいる。著書に『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『人は「暗示」で9割動く!』(すばる舎)、『パワーセルフ』(ダイヤモンド社)ほか多数。


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