5月中にも新しいジャンルの大衆薬(OTC医薬品)となる西洋ハーブ薬がお目見えする。文字通り、薬草や有用植物などのハーブを原料とした医薬品だ。
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第1号となるのは、エスエス製薬が5月22日に新製品として発表を予定している「アンチスタックス」。赤ブドウ葉のエキスを原料とした医薬品で、脚の静脈の血流に作用し、脚のむくみやだるさを改善する薬剤だ。親会社でもあるドイツの大手製薬会社、ベーリンガーインゲルハイム(BI)が欧州などで発売し、ドイツやスイスなどの主要国で売れているトップブランド商品である。
ちなみにアンチスタックスは、大正製薬の発毛剤「リアップ」に続く、2番目のダイレクトOTCでもある。ダイレクトOTCとは、新規有効成分が、医療用医薬品としての承認を経ずに、OTC医薬品として直接承認された薬剤のことだ。
西洋ハーブ薬は、欧州では6000億円以上の市場規模を持つ伝統薬。日本でもお茶やサプリメントなどの健康食品としてはおなじみだが、2007年に厚生労働省によって西洋ハーブの承認審査のルールが示されるまで、医薬品としての審査基準さえなかった。
それだけに、業界でも「西洋ハーブ薬という新しい医薬品が日本に定着すれば、市場が広がる」(大手製薬幹部)と期待が高まる。
特に、エスエスは、昔から「ニッチ分野や新規分野に強い」という業界内での評価がある。
近年では、睡眠改善薬「ドリエル」や、花粉症向けに鼻炎薬「アレジオン10」を成功させたという実績もあり、「エスエスの動向は“試金石”となる」と業界内ではみる。