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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

やはり街は歩いてこそわかる
米子市と上田市の印象と課題

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第156回】 2013年5月23日
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 日本の47都道府県を制覇したとはいえ、まだまだ知らない土地が多い。今月、講演のため訪れた鳥取県の米子市と長野県の上田市も私の知らない町だったといえよう。

 たしかにこれまでの講演で、米子市にも上田市にも訪れたことがある。しかし、空港または駅から直接講演会場に赴き、講演を終えるとすぐに帰途に就く出張スタイルでは、その町に対する何の知識も得られずに終わってしまう。少なくとも一泊ぐらいして現地を自分の足で歩いて見てみたいものだ。それは私の訪問先に対する最低限の希望である。しかし、バブル経済が崩壊したままで迷走をしている今日の日本では、この最低限の希望も今や贅沢な望みとなってしまう傾向がある。

ホテル代の安さと地方経済

 この米子と上田には、ようやく前泊がつきで講演を行うチャンスに恵まれた。心の高ぶりを抑えながら、両市を訪問した。米子市では、ホテルにチェックインしてすぐにレンタルサイクルを借り、日が暮れるまで市内を目いっぱい駆け回った。さらに、夕方の時間を利用して皆生(かいけ)温泉と夕日が落ちる日本海を見、翌日は空港へ行く順路を利用して出発までの時間を、「ゲゲゲの鬼太郎」などの妖怪で町おこしに成功した境港を見学した。

 米子市を訪れる前の日は島根県松江市で講演をしたため、松江に泊っていた。松江駅前に降り立った私の目に、まず映ったのは駅前のホテルの広告だ。シングルで3898円。しかも朝食と温泉サウナが無料というだけではなく、夕食も無料になっているのだ。その値段の安さに驚いた私は、思わずその夕食の内容を映している写真を覗きこんだ。「安い!安すぎる!」とびっくりしたと同時に、「厳しいなあ、地方経済は」と嘆いた。

 しかし、翌日、米子駅を通った時、より信じ難い広告を目にした。米子駅前に大きく出ているホテルの広告には、同じ内容なのに、シングルで2580円となっている。思わずfacebookに「これ以上安いホテル(内容も同じ)をご存じの方は教えてください。賞金を出す!」と書き込んだが、いまだにこの賞金をもらいうる人は現れていない。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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