安倍晋三内閣は、依然として高い支持率を維持している。
報道各社の5月の世論調査結果は20日に出そろったが、多少の違いはあるもの、内閣支持率は60%台後半に集中している。支持基盤が高い水準で固まりつつあると言ってもよい。
それは何よりも肝心の経済の好転が続いていることによるもの。しかもその好転が単にアベノミクスの成果というよりも、米国経済の復調が底流にあることが頼もしい。米国経済はこのところ、住宅需要の回復、雇用の改善、株高、シェールガス革命などの好材料によって力強く動き出した感がある。
政府は過日、1~3月のGDP速報値を発表したが、年率換算3.5%増の数字と共に個人消費や輸出の伸びに本格回復への期待を抱かせるものとなった。
あえてここで今後の経済の不安材料を指摘すれば、①民間設備投資の動向、②長期金利の動向、そして相次いで発表されている③成長戦略。そして、④雇用、賃金の動向が経済格差にどのような影響を与えるか。きわめて難しい問題が目白押しで楽観を許さない。
課題の間口を広げ過ぎた
安倍内閣の不安要素
さらに、経済ばかりでなく、他の分野も含めると安倍内閣がこのまま高い支持率を維持して参院選に臨むことは容易なことではないだろう。
①歴史認識。それによる韓国や米国との関係に与える影響。
②憲法改正。これは具体化すればするほど経済とは無関係に投票行動を左右しかねない。
③原発政策。これは決して風化する性格の問題ではない。安倍政権がこのまま「原発回帰」に突進するなら手痛い反発を招くだろう。
④北朝鮮問題。今回の「飯島訪朝」は大きな賭け。これが拉致問題解決の突破口となれば大きなプラスだが、そうでなければ、今までの成果を台無しにしかねない。われわれの期待が大きいだけに、その成否による影響も大きい。