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前回は、国債バブルを支えてきた「ハイブリッド」構造を議論した。異なる行動原理を持つ投資家たちが国債市場に同時に存在し、お互いに取引をすることによって、市場がいっそう安定化していることを示した。しかし黒田日銀が“異次元”金融緩和を実行する今後、国債市場はどうなるのだろうか。「ハイブリッド・バブル」は弾けるのか?弾けるとすれば、どのようなプロセスを経るのか?

“異次元”緩和による「ハイブリッド・バブル」の変調

 国債の買い手には、3種の投資家が存在する、という話をした。第1が、投資の利益最大化を狙う外国人投資家など、第2が、ファンダメンタルズに基づいて投資する大手金融機関など、そして第3が、財政破綻リスクに目をつぶりながら国債を買い続けている中小金融機関など、である。

 日本の国債市場の安定性を向上させる理由のひとつに、第1の投資家が現状いないことを挙げた。これは単に、外国人の保有比率が5%と低いことを指しているのではない。運用収益を最大化するために投資環境の変化によって金融商品間で資金をつねに動かす投資家がいない、そのことが重要だったのである。

 しかし、日銀の“異次元”金融緩和により、ハイブリッド・バブルは変調をきたしつつある。長期金利がいっそう低下、つまり、国債価格がいっそう上昇した場合、この第1の投資家が国債市場に増殖する可能性が高い。

 どういうことか?

 国債価格が上昇トレンドを確立する、と投資家たちが予想する場合、ヘッジファンドなど第1の投資家たちは「買い」で新規に参入する。当たり前だ。上がると分かっているなら、買うはずだ。ここで初めて、第1の投資家が影響力を持って、日本の国債市場に登場する。今後も国債価格が上昇すると見込んで、キャピタルゲインを狙う。

 そして、買い方向であれ第1の投資家の影響力が大きくなる瞬間が生じれば、彼らの追随者が増え、仕掛けについてくる投資家が増えることを意味する。状況次第では、売り方向で仕掛けたときも大きな流れをうみ、暴落を誘う可能性が生じたことを示している。つまり、ハイブリッド・バブルの安定構造を根本から崩す、もっとも危険な兆候だ。

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小幡績(おばた・せき)

1967年生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。92年東京大学経済学部卒業、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。2003年より現職。『すべての経済はバブルに通じる』(光文社、08年)、『リフレはヤバい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、13年)など著書多数。


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