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米国シェール解禁で始まる
LNG価格正常化への挑戦

週刊ダイヤモンド編集部
2013年5月27日
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フリーポート社の担当者は「2年越しの悲願だ」と喜んでいた
Photo by Maya Wakita

 「青天のへきれき。ここまで早く決まってくれるとは」と、関係者は一様に驚きを隠さなかった。

 5月17日に、米国エネルギー省が発表したシェールガスを含む米国産天然ガスの輸出解禁。前日に、新たなエネルギー省長官が上院で承認されたばかりだっただけに、政府内でも「予想以上の早さ」(経済産業省幹部)との声が漏れる驚きの展開だった。

 第1号として輸出許可を得たのは、従前の予想通り、中部電力と大阪ガスが参画するフリーポート社(テキサス州ヒューストン)のLNG(液化天然ガス)事業。2017年から年間440万トン分のLNG加工を行い、大半を日本へと輸送する方針だ。

 繰り返し指摘されているが、米国産の天然ガスは現状、従来日本が輸入してきた原油価格連動のガスより圧倒的に安い。加えて、アジアのLNG価格は世界でも突出している。原子力発電所が停止している日本では、LNGが火力発電の主燃料となっており、低価格の米国からの調達は電気料金の抑制につながる可能性がある。

 さらに、中部電力、大阪ガスの契約は、従来のように石油メジャーや商社に頼らず、「ユーティリティ」と呼ばれる電力、ガス会社が直接契約しているのが特徴。米国で流通している天然ガスを自ら買いつけ、輸送マージンなしで輸入できるほか、他の企業に販売するのも自由だ。

 「ただのLNG調達ではなく、売り主にもなれる。トレーディング機能を持つことは魅力」と両社の担当者は口をそろえる。

 安価な天然ガス調達は他の調達先への牽制にもつながり、「中東などに『高いままでは買いません』とメッセージを伝えられる、本当の『武器』を手に入れた」と政府関係者も喜びを隠さない。

 こうした交渉材料を手にすることで、現状は売り主優位のLNG市場を、適正な価格の市場に変えていくのが最終的な狙いだ。

次のページ>> “未知の領域”へ突入
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