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ハイブリッド・バブル 日本経済を追い込む国債暴落シナリオ
【第4回】 2013年5月29日
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小幡績

金融機関、金融市場、そして日本経済の安楽死

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日銀の金融緩和政策により、目下、金利や利回りが乱高下している。短期的には長期金利の安定化に成功するかもしれない。しかし、日銀依存が強まり、中長期的には財政破綻リスクや名目金利急騰リスクが高まっていくだろう。その結果、何が起こるのか? 

リスクは中小金融機関に集積する

 まず、大手金融機関などファンダメンタルズに基づいて行動する投資家は、長期国債の保有を一段と減らし、外債やETFなどほかの運用資産に資金を移す。一方、中小金融機関などは、価格下落リスクに目をつぶり、より満期の長い国債を積極的に買って利回りを確保せざるを得ない。有力な融資先が少ないなか、金融緩和により満期の短い国債の利回りが相対的に低下するためだ。

 その結果、国債はこれら中小金融機関に寄せられていく。保有量以上にリスクテイク量は高まり、デュレーション(満期までの平均残存期間)の急速な長期化によって国債市場のリスクは極端に中小の金融機関に偏り、溜まり、集積することになる。

 これまでの国債市場では、2つのタイプの投資家−−大手行などファンダメンタルズに基づく投資家と、中小金融機関など価格下落リスクに目をつぶる「限定合理的」投資家−−のバランスがとれており、さらにお互いが同時に存在することで、安定性を強化していた。それを私は「ハイブリッド・バブル」と名づけた。しかし、この構造が崩れていく。 

 これは、きわめて危険な状態だ。リスクを集積させている主体は、規模、財務状況、運用の選択肢および経営の選択肢、いずれからいっても、もっとも脆弱な金融機関だからだ。

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小幡績(おばた・せき)

1967年生まれ。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)准教授。92年東京大学経済学部卒業、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。2003年より現職。『すべての経済はバブルに通じる』(光文社、08年)、『リフレはヤバい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、13年)など著書多数。


ハイブリッド・バブル 日本経済を追い込む国債暴落シナリオ

日本国債が抱える本当のリスクは、バブルでありながら暴落しないことだ――。暴落しない静かなバブルは、国債依存症となった金融機関の安楽死、ひいては日本経済の安楽死につながる!

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