ビッグデータに関わる著名な日本人技術者らがシリコンバレーに設立した企業が今、世界的に注目を集めている。その名もトレジャーデータ。米ヤフー創業者らの出資を受け、日本でも広告代理店の博報堂や料理レシピサイトのクックパッドなどがここのサービスを利用している。この度、トレジャーデータは、日本で本格的に事業展開するとして記者会見を行った。来日した34歳の芳川裕誠・CEO(最高経営責任者)に話を聞いた。
――トレジャーデータはどんなサービスを提供しているのでしょうか。
Photo by Takeshi Kojima
いま、ビッグデータという言葉があるように、企業には顧客データや会計データ、ログデータなどさまざまなデータがあり、それがリアルタイムでどんどんと蓄積されています。
巨大なデータゆえに扱うのが難しかったのですが、それがここ5年ぐらいで、サーバなどのハードウェアのコストが劇的に安くなり、大規模データを保管し、解析する仕組みができました。
インターネット企業の中には、巨大なアクセスデータを解析して新しいサービスを生んでいます。アマゾンのように、購買履歴を基にしてお薦め商品を提示するレコメンド機能や、グーグルのように広告配信の最適化技術がその一つにあたります。
こうしたソフトウェアの技術のかなりの部分が、オープンソース化されました。つまり、誰でも簡単にビッグデータを活用し、これまでの10分の1~100分の1のコストで解析できるようになったのです。
しかしながら、システムの構築や保守、管理のコストはほとんど変わっていないのが現状です。実際、100~1000台のコンピュータを横に並べて複雑なソフトウェアを積み重ねていくようなものですから、ビッグデータの活用をしたくてもつまずいてしまっている企業がたくさんあるのです。
そこでわれわれが、そのデータを管理しようと考えました。クラウドコンピューティングを活用して、データの収集、保管、そして解析の仕組みを安価に提供するサービスを始めたのです。これにより、企業にはデータ分析に専念してもらえます。
サービスは、無料の試用版や月額3000ドルからのものを用意しており、データを蓄積する量や処理の速さに応じて料金が上がる仕組みです。もしサービスを止める場合、預かったデータは企業にお返しします。