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China Report 中国は今

「所詮、中国」の意識から抜け出せず
上海進出で成果を出せない日本企業

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第10回】 2008年10月16日
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 伊勢丹の中国1号店が今年11月に店を閉める。採算が合わないというのが閉店の理由だ。現地紙「第一財経周刊」でも、「5年連続で売上は下降、来客数はどんどん少なくなり、知名度ある入居テナントも撤退、2007年は11年前の売上の70%でしかなくなった」と報道する。1993年に中国で初出店した「上海華亭伊勢丹」の上海15年の歴史を惜しむ声もある一方で、その撤退が送るメッセージを「上海マーケットへの認識の甘さでは」とする厳しい指摘もある。

かつて日本ブランドは
出せば売れた

 開襟シャツにスラックスというのが定番だった上海市民が、ファッションに目覚めたのは2000年前後のことだ。前年の99年が「建国50周年」だったこともある。中国政府は大型連休を導入したり、公務員の給料の引き上げを行うなどして消費を喚起した。再開発が進む上海の中心街では、ショッピングセンターなどの消費地が1つまた1つとオープンし、市民は次第に「消費」に目覚めていった。

 当時、日本企業は決して波に乗り遅れてはいなかった。むしろ、伊勢丹の早期出店から読み取れるように、先行してその地位を確立していた。90年代にすでにブランドを展開していた日本のアパレル、イトキン、ワールド、オンワード樫山が上海市民の消費意欲を埋めた時代もあった。その頃は地元消費者の日本ブランドへの憧憬と、競合の未成熟もあり、日本ブランドは出せば売れたものだった。

 だが、今は違う。時代は過去のものになった。地場のアパレルメーカーが仕掛ける猛烈な廉売攻勢と、マーケティングノウハウで武装した外資の参入で、すっかり日本ブランドはかすんでしまっている。

 なぜか。ジェトロや国内の大学でファッションマーチャンダイジングやマーケティングについて講師を行う、IBD事業開発研究所株式会社(本社:東京都)の代表取締役 島田浩司さんはこう指摘する。

 「日本では当たり前のマーケティングが、なぜか中国ではできないんです。そこにあるのは、中国のファッションは遅れているという見方。日本と中国ではマーケットが違うという認識が日本企業に欠落しているのです」

 確かに、日本企業は金も人も使って調査は行っている。が、どうやらその分析のやり方に問題がある。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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