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2030年のビジネスモデル

「自由に働く学部」「日本を楽しむ学部」「丁寧に暮らす学部」……、自由大学から始まる「水平な学び」

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第7回】 2013年6月7日
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学びのキュレーターという第三の視点

自由大学という学校がある。学校といっても学校法人ではない。ここでは学びたい学びを企画構想し、それに必要な教授を様々な領域から連れてきて、全5回の講義へと組み立てる。それを「学びのキュレーション」という。その特徴は授業の構成を、従来の教授と学生の2者間関係から、教授-学生-キュレーターという3者間関係へと変革したことにある。

学びのキュレーターーー授業をつくる新しいフォーメーション
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 学びのキュレーターは、自ら学びたい講義を熱意を持って企画し、それに必要な教授を様々な領域から探し出してきて、番組のように編成するプロデューサーのような存在だ。

 ここでは教授はタレント、コンテンツ、リソースのようなものであり、むしろ講義をプログラムしているのはキュレーターなのだ。この考え方は教育の世界ではとても新しい。

自由大学の校舎(上から)
・原宿の裏通りにある「IKI-BA(粋場)」
・代官山や目黒川からほど近い「みどり荘」
・廃校となった旧池尻中学校の校舎を再利用したメインキャンパス
写真提供:自由大学

 自由大学方式においては、教授は大学教授である必要はない。学びたい内容について最も有用な知識と経験を持っている人が「教授」になる。

 たとえば、建築家の坂口恭平さんが学びのキュレーターとして企画した「0円ハウス学」という講義では、多摩川河川敷などで実際に路上生活をしている人たちが「教授」としてやってきた。それは講義としては衝撃的な出来事でった。

 受講者にも特別の資格は要らない。5回の講義で3万円程度の受講料を払えば誰でも参加できる。講義を受講しても単位や資格はもらえない。資格目当てではないのだ。純粋に学びたい学びがそこにあるから受講者は集う。

学びのキュレーターに必要とされる「問題設定力」

 学びたい学びをキュレーションする企画屋、それは一体どういう人がなるのだろうか。求められる資質とか能力は何であろうか。自由大学学長の和泉里佳さんは、「最初は誰でもできると思ったけど、違った。学びのキュレーターにはちょっと違う才能が必要」と言う。自由大学ファウンダーの黒崎輝男さんと学長の和泉里佳さんのお二人の話から、学びのキュレーターの実像に迫るためのキーワードを抽出してみた。

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齊藤義明[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

facebookページ:https://www.facebook.com/yoshiaki.saito.1042

 


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未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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