今年4月に初めて、開発者向けの端末がスペインの会社から発売されると即完売し、3度目の入荷後もすぐに売り切れた人気のスマートフォンがある。

 操作性は、数年前のアンドロイド端末に似ているものの、主なアプリが使え機能性は備わっている。開発者向けにもかかわらず、端末価格は91~149ユーロと2万円以内に抑えられていて圧倒的に安い。

スペインのギークスフォンが発売したファイヤーフォックスOS搭載端末
Photo by Takeshi Kojima

 それがファイヤーフォックスというオペレーションシステム(OS)を搭載した新端末だ。このOSは、米非営利組織モジラが無償で提供しているため、ウェブ技術を基本として自由に“設計”でき、開発情報も共有されている。

 スマホのOSはアップルとグーグル2社の寡占状態であり、端末開発者はOSのバージョンアップごとに対応を迫られるなど苦慮していた。そこに、第三極が登場したことで新たな選択肢が生まれた。

 世界でも大手通信事業者など17社が支持を表明し、今夏には南米など世界9カ国で商用端末が出る予定。日本でもKDDIが参加している。台湾フォックスコンも名乗りを上げており、コストダウンにも弾みがつきそうだ。

 一般企業にとってもメリットは大きい。対応アプリの開発は、ウェブ開発をしている企業であれば追加の手間や費用がほぼ必要ない。提供の際もアップルやグーグルに納める“場所代”がいらず、ウェブが基本の構造上、セキュリティにも強いという。期待が高まるのは当然だ。

 (「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

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