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オヤジの幸福論

思い切って自分の意思決定を排除してみる

後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]
【第18回】 2013年6月27日
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 これまで行動ファイナンスの切り口から見てきたように、私たちはその習性故に投資においてなかなか適切な行動を取れない傾向にあります。当然、皆さんの関心は、「このような人間の習性によるバイアスを回避しつつ、適切に退職後資産を形成するにはどのように投資すればよいのか」という点にあると思います。そこで、これから数回にわたりその対応策についてお話しします。

今も昔も人間は変わらない

 対応策について話す前に、ここまで説明した行動ファイナンスからの示唆を以下にまとめました。

(1)自分では合理的な選択ができると思いがちだが、実際には適切にリスクが取れない

(2)選択は良いこと、そして選択肢は多いほど良いと思いがちだが、実際にはむしろ選択肢の多さが人間の思考を麻痺させ、意思決定を鈍らせてしまう

(3)多くの情報を持っているからといって、適切な判断が下せるとは限らない

(4)自分は他人より優れた運用ができると自信のある人もいるかもしれないが、市場の動きを予測するのは難しく、結果としてそういう人ほどうまく行っていない

 極端な言い方をすると、自ら進んで考えよう、判断しようと思えば思うほど、人間は合理的な判断ができないという大きな問題を抱えることになります。ビジネスの最前線で働くオヤジ世代の皆さんは経営や現場の責任者として日々難しい判断を迫られていると思いますが、考えれば考えるほど人間固有のバイアスに陥ってしまった経験があるのではないでしょうか。例えば、長期的に大きな利益が得られる可能性があるプロジェクトがあるのに、単年度の利益を重視するあまり、即効性のある低収益のプロジェクトを実行してしまった経験はないでしょうか。また、膨大なコストをかけたプロジェクトについて、その将来性を考えると中止が妥当な判断であるにもかかわらず、過去に投じたコストの大きさを考えて継続してしまうというのもよくある話だと思います。

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後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]

慶應義塾大学理工学部 非常勤講師。1997年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。97年株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)にて、法人向け融資業務に従事。2000年みずほ総合研究所に勤務し、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。06年一橋大学大学院国際企業戦略研究科にてMBA取得。同年4月アライアンス・バーンスタイン株式会社に入社。共著書に「企業年金の資産運用ハンドブック」(日本法令 2000年)、「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(東洋経済新報社 2004年)などがある。

 


オヤジの幸福論

年金支給が70歳支給になるかもしれない。公的年金ばかりか企業年金も怪しくなっている。銀行の金利も微々たるもの。平均寿命が延びるほどに老後が不安になってくる。自分で自分を守るためにどうしたらいいのか。オヤジの幸福のために自分年金について教えます。

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