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オバマの金融規制の当否とその実現性

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第115回】 2010年1月27日
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「オバマ・ショック」

 先週後半、オバマ大統領が提案した金融業に対する規制強化案が世界の株価の下落要因になった。一部にはこれを「オバマ・ショック」と呼ぶ向きもあるようだ。

 この規制案は現在米議会で審議中の金融規制改革法案に付け加えようとするもので、主な内容は以下の三つだ。

(1)銀行によるファンド投資(ヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ファンド)の禁止(保有も出資も禁止する)、
(2)高リスクな自己勘定取引の制限、
(3)大手金融機関の負債規模の制限、である。

 何れも詳細が未だ分からないが、(1)(2)は銀行による非銀行業務でのリスク・テイク行為の制限であり、(3)は大きすぎて潰せない金融機関を作らないための規制だ。

 金融危機後のアメリカの大手金融機関は自己勘定取引やファンド投資で大きな収益を上げた。昨年は、株式をはじめとする多くの相場がリバウンド局面を迎えたし、何よりも「しばらくは調達金利が上がらない」状態が半ば約束された中でほぼゼロ金利でドル資金が調達できるのだから、トレーディングは大いに儲かった。

 金融機関が儲かることは、金融機関のバランスシート回復に役立ち金融システムを回復・安定させる。これは、バブル崩壊後の日本でも経験したことだが、日本の場合と些か事情が異なるのは、彼の国のお金に対して「肉食系」の金融マン達は、さっさと公的資金を返して高額のボーナスを貪り始めたことだ。率直に言って、これは些か急ぎすぎたかも知れない。第三者的に距離を置いて見ると、商業用の不動産などに十分表面化していない問題を抱え、金融機関は健全性を回復した「振りをさせて貰っている」だけの段階で、高額のボーナスを復活させたのは些か厚かましかった。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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