ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

山間の村に最先端の芸術家やIT起業家が続々移住?
“創造的過疎”を掲げて地域再生を図る神山町の先見性

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第72回】 2013年7月2日
1
nextpage

「葉っぱビジネス」の上勝町の隣にも?
悪条件に屈せず地域を自力で活性化する町

 悪条件に屈することなく、地域を自力で活性化させている自治体が全国にいくつか存在する。その代表的な存在の1つが、前回紹介した「葉っぱビジネス」の徳島県上勝町だ。

 その上勝町の北隣りに、急速に知名度を上げている自治体がある。「芸術と文化による地域再生」を進める神山町である。ITベンチャー企業などの呼び込みに成功し、全国の自治体関係者らの注目を集めている。その手法を知ろうと、神山町にも各地から視察が殺到している。

 神山町と上勝町は隣接する自治体だが、互いの間に1000メートル以上の山々が立ち並ぶ。神山町は鮎喰川沿いに集落が広がり、上勝町は勝浦川沿いにできた町。2町を隔てる山々を越す道路はあるが、行き来は容易ではない。2町は隣り合っているものの、生活圏を全く異にする自治体であった。

 徳島駅前から路線バスに乗り込み、揺られながら約1時間。山々に囲まれた神山町の中心部に降り立った。真っ先に目についたのが、大きな鳥居。そして、青い空と山の緑。

 集落を澄み切った静寂が覆い尽くし、まるで別世界に足を踏み入れたかのように感じられた。これまでにあまり味わったことのない感覚だった。後で知ったことだが、神山町には邪馬台国の卑弥呼にまつわる古寺や旧跡が多数、存在する。

 スダチの生産量日本一を誇る神山町は、人口6240人(2013年4月現在)。過疎化により、ピーク時の3分の1まで激減している。町の財政力指数は0.22しかなく、山間部にある典型的な過疎自治体と言える。

 そんな神山町に、まさかの現象が次々に起きている。東京のITベンチャー企業など計9社が空き家を借りてサテライトオフィスを開設するなど、町外からの移住が目立つようになったのである。2011年度に人口が初の転入超過(12人)となった。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
ビジネスプロフェッショナルの方必見!年収2,000万円以上の求人特集
ビジネスプロフェッショナルの方必見!
年収2,000万円以上の求人特集

管理職、経営、スペシャリストなどのキーポジションを国内外の優良・成長企業が求めています。まずはあなたの業界の求人を覗いてみませんか?[PR]

経営課題解決まとめ企業経営・組織マネジメントに役立つ記事をテーマごとにセレクトしました

クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

注目のトピックスPR

話題の記事

相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

「相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記」

⇒バックナンバー一覧