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【第16回】 2013年7月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

広大かつ未開拓な市場はどこにでもある!
世界中の先進企業がこぞって採用した戦略論
『ブルー・オーシャン戦略――競争のない世界を創造する』

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 北海道の小さな水族館が話題となっています。道東の北見市、大雪山の麓にある「山の水族館」は、かつて集客減・老朽化から2011年に閉館しましたが、水族館プロデューサーの中村元氏の協力の下で改装・リニューアル。水面が凍った状況の淡水魚の生態が見られる「川が凍る水槽」など、当地ならではのアイデアで入場客が急増。改装1年で入館27万人を突破しました。これまでであれば雪や寒さは集客の敵です。それを逆手に取って、他では見られないものを提供したことが、これまでにない市場を生み出したものと言えます。
 従来にない新しい価値を提供できれば、そこには無限の潜在的市場が生まれます。「競争のない世界を創造する」。これが今回紹介する『ブルー・オーシャン戦略』のサブタイトルです。

血みどろの飽和市場から抜け出す
真に独創的な市場開拓

 ブルー・オーシャン戦略は、血みどろの戦いが繰り広げられるレッド・オーシャンから抜け出すよう、企業にせまる。そのための手法は、競争のない市場空間を生み出して競争を無意味にする、というものである。縮小しがちな既存需要を分け合うのでもなく、競合他社との比較を行うのでもない。ブルー・オーシャン戦略は需要を押し上げて、競争から抜け出すことをねらいとする。(4ページ)

W・チャン・キム、レネ・モボルニュ 有賀裕子訳『ブルー・オーシャン戦略』
2013年5月刊行(オリジナル版は2005年刊行)。陽の光に照らされて輝く水平線が印象的な装丁。実はこれは写真ではなくイラストです。「明確なイメージがあったがそれに合う写真が見つからなくて、絵で再現してもらった」(担当編集者)とのこと。

 一言でいえば、自由市場経済のなかで独占市場をつくる、ということです。自由市場経済で例外的に独占が認められているのは、日本では電力会社が代表的ですね。政府が認める独占市場ではなく、自由競争下で独占市場をつくるというのですから、真に独創的な市場開拓が必要になります。

 壮大な研究開発を想像しますが、著者が第1章で例示するのは、なんとシルク・ドゥ・ソレイユです。

シルク・ドゥ・ソレイユが成功したのはなぜか。輝かしい未来を手に入れるためには、競争から抜け出さなくてはいけない、と悟ったからである。競合他社に打ち勝つただ一つの方法は、相手を負かそうという試みをやめることなのだ。(19〜20ページ)

 サーカスは斜陽産業で、顧客である子どもたちはゲーム機に夢中です。そこでカナダのシルク・ドゥ・ソレイユは、顧客の対象を子どもからおとなに転換して、演劇的で静謐な新しいパフォーマンスを商品化したということになります。既存の市場で戦うのではなく、新しい市場を創造しました。

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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


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