税務上の所得が減る大きな理由は
受取配当の益金不算入措置

 前回示した計算で、つぎのことを述べた。会社標本調査における利益計上法人の利益額(A)と、法人企業統計における黒字法人の利益額(B)を比べると、

(1)Aは、対象の差などによってBの約7割になっている。

(2)さらに、企業会計と税務会計の差によって、AはBの約7割になっている。

 国税庁「会社標本調査」による2011年度の利益計上法人の黒字額は33.9兆円であるが、その3割に当たる約10兆円ほど、税務上の利益は企業会計の利益より縮小しているわけだ。

 税務上の所得が減る最大の理由は、受取配当の益金不算入措置と繰越欠損金である。

 まず、受取配当益金不算入措置の実態を見よう。

 国税庁「会社標本調査」によると、11年度において、利益計上法人の受取配当の総額は3.1兆円であり、そのうち益金不算入額が2.6兆円である。外国子会社からの配当の益金不算入額を加えると、4.3兆円になる(図表2参照)。この額は、上で述べた利益の乖離額の4割程度だ。

法人税が課税されない利益が約2兆円ある

 受取配当の益金不算入額は、二重課税の排除のために必要であるとされている。配当は、法人税が課税された後の利益の中から支払われる。したがって、法人が受け取る配当に課税すると、法人税が二重に課税されてしまうこととなるので、これを排除する必要があるとされるのだ。

 そのための手段として、日本では、受取配当益金不算入を取ってきた。ヨーロッパでは、「インピュテイション」と呼ばれる方式を取っていた。ただし、ヨーロッパでも、最近では、受取配当益金不算入措置を取る国が増えた。