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ブラック企業と解雇規制緩和議論の「相乗効果」
転換点を迎えた日本の“働き方”をどう変えるべきか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第284回】 2013年7月16日
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世間の関心が高まるブラック企業
社員は我慢するしかないのか?

 最近、「ブラック企業」という言葉を見ることが多い。ブラック企業とは、社員に十分な給与を与えることなく、長時間のサービス残業をさせたり、劣悪な条件で働かせる企業のことを意味する。インターネットを検索すると、「ブラック企業ランキング」なるものまで登場している。それだけ、人々の関心が高いということだろう。

 本来、劣悪な労働条件で従業員を働かせることは、労働基準法などによって規制されているはずなのだが、ブラック企業と呼ばれる企業では、それらの規定されている基準を上手くすり抜けたり、規制ギリギリのところで止めていたりするケースが多いようだ。

 また実際に、劣悪な労働環境の下で働いている従業員の中には、「言ってもムダだから、黙って我慢するしかない」、あるいは「我慢できなければ、辞めればいい」という考え方を持っている人が多いようだ。

 そうした状況を考えると、インターネット上でブラック企業に関する会話や議論が出ていることには、相応の意味がある。多くの人が、ブラック企業に関する情報を共有することによって、その企業で働こうという人が減り、最終的に企業のビジネスモデルが継続できなくなれば、経営者も真剣に労働条件を考え直すことも期待できる。

 もともと、わが国の労働市場は流動性が低いなど、経済環境の変化への対応が遅れていた。人々のブラック企業に対する意識の高まりや、実際の企業との付き合い方を考えることによって、少しずつ労働市場改革の必要性が高まるかもしれない。

 多くの人々にとって、今でも、勤務先(企業などの組織)はかなり重要なファクターになっている。「あの人は○○銀行に勤めている」と言われると、「○○銀行に勤務しているのであれば、きっと真面目で誠実な人なのだろう」という意識を持つことが多い。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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