韓国LG電子は競合のサムスンを追いかけるように、テレビ事業でもはやライバルではなくなったシャープに安価な液晶パネルを発注している
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 韓国二大メーカーという“二刀流”は、シャープの経営再建への福音となるのか──。

 今年6月ごろから、シャープの液晶パネルの主力生産拠点である亀山第2工場(三重県)では、昨年夏にわずか3割ほどしか動いていなかった“凍れる生産ライン”が息を吹き返しつつある。

「サムスン向けで年間400万台分を超えるかもしれない」

 シャープ社員すら臆面もなくそう話すほど、亀山第2工場は韓国メーカーで支えられている。

 今年3月にシャープに104億円を出資したサムスン電子は昨年末から、テレビ用の液晶パネルを安価に調達するために大量発注している。さらに週刊ダイヤモンドの取材によって、LG電子も後を追うようにしてシャープへ大きな注文をかけていることが明らかになった。

 米調査会社のディスプレイサーチによれば、世界のテレビ市場のシェア(2013年第1四半期)は、1位のサムスン電子(27.9%)、2位のLG電子(16.6%)を合わせて約45%を占め、日本勢を圧倒している。トップ2社からの同時受注で、足元の稼働率は一気に7割超という水準まで上がっている(業界関係者)。

 アベノミクスによる円安も追い風となり、シャープの経営危機は、この液晶事業と共に小康状態となったかのように見える。

日中連合という“時限爆弾”

 しかし目線をもう少し先までやると、今後の雲行きは相当怪しいことがわかる。

 実は、シャープは2年前から、「もうからないテレビは作るつもりはない」(片山幹雄社長、当時。)と“脱テレビ”を宣言し、高い省エネルギー性能を誇る「IGZO液晶」を量産して、急成長していたスマートフォンやタブレット端末に供給することで利益を生むという方針を打ち出してきた。