ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

「会社に戻ると殺される!」「セクハラでもう限界」
ブラック企業で“職場DV”に脅える社員の座談会

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第3回】 2013年7月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 今回は、ブラック企業でいじめ抜かれ、「殺される」と脅える社員らの座談会の模様を紹介しよう。参加者は、上司から殴られた女性、セクハラをされた挙げ句雇い止めにされた女性、そして前回の記事で紹介した、うつ病になり、「もう、車に飛び込んで死んでしまいたい」と嘆く男性の3人だ。座談会当日は、彼らに労働相談を行ってきた労働組合の役員も加わった。

 座談会は約1時間30分。その8割を記事にした。2割は、彼らが勤める会社などが特定され得る可能性があるため、省略した。会話中の数字、下線付きの太文字部分については、筆者がこの20年近く労使紛争を取材した経験を基に、記事の後半で補足し、持論を述べたい。

 狙い撃ちのいじめにしろ、会社公認のリストラにしろ、その最前線では「能力」や「実績」とはさほど関係なく、「排除の論理」が押し通されていく。辞めていく人の声がメディアで取り上げられることは、ほとんどない。そして、労働の現場を知らない人たちにより、「成果主義の下、能力が低いから止むを得なかった」という話が創り込まれていく。

 こうした現状に警鐘を鳴らすため、今回のような座談会を通して、「声なき声」に耳を傾けたい。彼らの声には、日本の職場が抱え込む問題が凝縮されている。

(座談会出席者)
 
Aさん:50代後半の女性。大手の会計事務所に正社員の事務職として20年近く前から勤務していたが、役員である奥様(所長の配偶者)から目をつけられ、いじめ抜かれる。現在、ユニオンに入り、事務所と交渉中
 
Bさん:40代前半の女性。小売業界の企業で7年前から派遣社員として働いていたが、今年3月に雇い止めとなる。現在、ユニオンに入り、団体交渉を求めている
 
Cさん:前回の記事で紹介した男性。50代半ば。大企業の課長職。上司から嫌われ、いじめられ、うつ病になりながらも、ユニオンに入り、団体交渉を求める
 
関口:労働組合・東京ユニオンの副委員長・関口達矢さん

 

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

 企業で働くビジネスマンが喘いでいる。職場では競争原理が浸透し、リストラなどの「排除の論理」は一段と強くなる。そのプロセスでは、退職強要やいじめ、パワハラなどが横行する。最近のマスメディアの報道は、これら労働の現場を俯瞰で捉える傾向がある。

 たとえば、「解雇規制の緩和」がその一例と言える。事実関係で言えば、社員数が100以下の中小企業では、戦前から一貫して解雇やその前段階と言える退職強要などが乱発されているにもかかわらず、こうした課題がよく吟味されないまま、「今の日本には解雇規制の緩和が必要ではないか」という論調が一面で出ている。また、社員に低賃金での重労働を強いる「ブラック企業」の問題も、あたかも特定の企業で起きている問題であるかのように、型にはめられた批判がなされる。だが、バブル崩壊以降の不況や経営環境の激変の中で、そうした土壌は世の中のほとんどの企業に根付いていると言ってもいい。

 これまでのようにメディアが俯瞰でとらえる限り、労働現場の実態は見えない。会社は状況いかんでは事実上、社員を殺してしまうことさえある。また、そのことにほぼ全ての社員が頬かむりをし、見て見ぬふりをするのが現実だ。劣悪な労働現場には、社員を苦しめる「狂気」が存在するのだ。この連載では、理不尽な職場で心や肉体を破壊され、踏みにじられた人々の横顔を浮き彫りにし、彼らが再生していくプロセスにも言及する。転機を迎えた日本の職場が抱える問題点や、あるべき姿とは何か。読者諸氏には、一緒に考えてほしい。

「悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史」

⇒バックナンバー一覧