転職がうまくいくかどうかを左右する大きなポイントの1つに「タイミング」があります。キャリアの中では転職に向いている時、向いていない時があり、判断を間違えないようにすることが大切ですが、あまり意識されていないのが実情です。

 1つ事例を紹介しましょう。

 以前、私がサラリーマン時代にお世話になった先輩が「転職したい」といって当社にやって来ました。若手の頃から実績を出してきたとても優秀な方で、いつもはつらつとお話になるのですが、そのときはどことなく「しんどいオーラ」が漂っていました。実はいまの職場ではあまり活躍できておらず、疲労困憊していたのです。私たちはそういうオーラは決して見逃しません。

「いまは転職しないほうがよいと思いますよ」

 その時はそうアドバイスしてお帰りいただきました。

 それから2年ほど経った頃、その先輩にぴったりのイメージが湧く案件が出てきたので連絡を取ってみると、以前とは打って変わって元気にご活躍の様子でした。

「丸山、いまは新しいプロジェクトが忙しくて転職どころじゃないんだ」

 しかし、実はこういう時こそ転職には向いているタイミングです。そうお伝えしてお会いしてみると、しんどいオーラが出ていた時とはまったく雰囲気が変わり、ノリに乗っているオーラに満ち溢れていました。

 そこで「こういう案件がありますが」と提案すると、「大変だけど面白そうだね」と前向きに受け止めていただきました。早速、求人を出している会社のトップとお会いしてもらったところ、即座に採用が決定しました。ちなみにこのときご紹介した案件は上場準備に入ったある企業の部長職で、転職の数年後にこの企業は上場を果たしました。