ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
美人のもと

駅弁

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第158回】 2013年7月29日
著者・コラム紹介バックナンバー

 電車旅行の楽しみのひとつに駅弁がある。いつもと違う場での食事はおいしいのだが、電車の中という非日常空間はその楽しみを倍増させてくれる。車窓を楽しんだり、友達との会話を楽しんだりしながら食べるお弁当は格別である。

 車内は一般的なレストランと比べると不便なことが多い。場所も狭いし、他人との距離も近い。決して静かとは言えないし、ガタンゴトンと揺れも来る。食べる環境としては快適とは言い難い。にもかかわらず、おいしいのだ。駅弁を家で食べると何か物足りなさを感じるのは、旅情というエッセンスがないからなのかもしれない。

 美人は駅弁を上手に食べる。おいしそうに食べる。普通のお弁当も一際おいしそうに見える。

 何が上手なのか。それは狭いスペースの中でおいしく食べる工夫である。

 まず小さく座る。なるべくシートの前の方に重心を置く。小さなテーブルに効率よく弁当を置く。駅弁は過剰な包装が多いので、ゴミが多くなる。ゴミを小さくまとめて食事の邪魔にならないようにしておく。そしていつも以上に脇を締めて食べる。そもそも箸を使う時は脇を締めて食べる方が美しい。それをいつも以上に意識する。その方が何かを持つ時にも安定感が出る。ナイフ、フォークではないのだ。自分の領土を小さくする意識だ。

 食べ終わったら、ゴミをすぐまとめる。できるだけゴミを小さくする工夫をして捨てる。要は散らかさないということだ。

 狭い場所で小さく食べる。それは少し不自由なようだが、それ自体を楽しむ。自然と非日常を楽しむ気持が生まれてくる。

 狭い場所なのに、やたら領土を広げてくる人がいる。そういう人はたいてい包装を乱暴に開け、そのゴミをあちこちに置きながら広い範囲で食べようとする。あちこちにものを置くので、急に電車が揺れるとお茶などがこぼれてしまう。それを拭いている時にまた弁当をこぼすという循環をつくってしまう。それではおいしいものが楽しめない。

 駅弁という非日常を狭いスペースで楽しむ。小さな工夫がおいしさを倍増してくれる。そんな味わいを知っていれば、自然と「美人のもと」が車内で増えていく。

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


美人のもと

『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

「美人のもと」

⇒バックナンバー一覧