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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

「高齢化社会」では高年者が扶養される側から
扶養する側に回ることが必要

上田惇生
【第344回】 2013年8月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円

 「高年者は、あらゆる先進国において、いかなる弱者をも超えて突出する巨大な弱者である。増大を続ける唯一の弱者である。この弱者は、多様な層を横断的に網羅する。その意味で、もっとも普遍的な弱者である。誰もが、その一員になると考える唯一の弱者である。年をとることは、望ましいことではない。だがほとんどの者は、死ぬよりは年をとる方を選ぶ」(『イノベーターの条件』)

 ドラッカーはさらに言う。「この弱者は、自らの過ちのゆえに不遇なのではない。他の者の過ちのゆえに不遇なのでもない。あるいは、誰かが、彼らの犠牲のもとに得をしているのでもない。社会の犠牲者とされているわけではない。彼らは社会の成功者である」。

 その社会の成功者が、働く能力と働く意思を持つにもかかわらず、年齢のゆえに、働く機会がない。

 そのくせ、高年者に働いてもらわない限り、社会が持たない。現役就業者が扶養できる退職高年者の割合には限度がある。しかも、先進国の多くが、すでにその限度を超えた。

 できるだけ多くの退職高年者に、扶養される側から扶養する側に回ってもらわなければならない。幸い、彼らのほうが、手ぐすね引いて、声のかかるのを待っている。壮年時並みの報酬を期待しているわけではない。貢献の場と絆を求めているにすぎない。定年の延長とは、そのための制度改革である。

 社会の空気を決めるものは、増大しつつある人口層である。かつての先進国では、若年層がそのような人口層だった。そのため若者文化が先進国の文化となった。

 ところが、今増大しつつある人口層は高年者である。したがって、これからの社会の空気を決めるものは高年者である。しかも、彼らの投票率は高い。彼らの価値観が社会の価値観となっていく。

 ただし、定年の延長には、一つだけ条件がある。本人たちの納得しうる退職基準の設定とその運用である。加齢による創造性と生産性の低下は自覚の難しい症状だからである。

 「高年者に対しては、機会の平等を与えなければならない。今日のように、年齢を理由として働く機会を奪ってはならない。ただし、それでもなお、問題は緩和されるにすぎない。強制的な退職を何歳にしようとも、その先に年月がある」(『イノベーターの条件』)

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2017年1月21日号 定価710円(税込)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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