ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
投資信託はこの9本から選びなさい
【第5回】 2013年8月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
中野晴啓 [セゾン投信社長]

長期投資にはオススメできない!
「テーマ型」「ターゲットイヤーファンド」とは?

1
nextpage

今、日本で個人が買える投資信託は全部で3376本。しかし、その中で「今、手元にお金がなくても個人が安心して資産を作れる投資信託」は、3376本中、たった9本だけだった!金融業界を20年以上見続けてきたセゾン投信社長が語る、読むだけで「投資信託」のことがすぐわかる、ここだけの話。今回は、販売会社で力を入れて売られることの多い「テーマ型ファンド」、「ターゲットイヤーファンド」について。証券会社や銀行の窓口で、これらを勧められたら要注意です!

一見わかりやすい
テーマ型ファンドに気をつけろ!

 投資信託のなかには「テーマ型」と呼ばれるタイプがあります。これは、たとえばIT、地球環境、クラウドコンピューティング、食糧問題など、特定の経済テーマを投資信託の運用方針に掲げ、そのテーマに関連した企業の株式などに投資するファンドです。

 IT関連ファンドであれば、コンピュータ会社、家電、電話会社、半導体メーカーなど、ITのハード面、ソフト面に関連する企業の株式のみを組み入れて運用します。

 こういったテーマ型ファンドの良いところは、何といっても分かりやすさという一点に尽きます。日頃ニュースなどで見たり聞いたりしている事柄が、投資信託名に反映されていたりしますから、投資信託のことはよく分からないという人でも、とても買いやすいのです。つまり売る方も勧めやすいということです。

 しかし、ひとつのテーマが株式市場において長く支持されるということは、まずありません。どんなテーマでも、せいぜい2年も話題になり続けたら、自然に飽きが来ます。そうなったとき、それまで話題になっていた投資のテーマに関連する株式は、一気に株価が急落し、そのテーマに関連した企業の株式を組み入れていた投資信託の運用成績も、どんどん悪化していきます。

 購入するときに、どれだけ「長期的なテーマだから」と説明されたとしても、テーマ型ファンドの寿命は短いのです。それなのに、「長期投資には最適です」などと言ってこれを売るのは、詐欺にも等しい行為といえるでしょう。

今まではこんなテーマ型ファンドが流行った

 ちなみに、これまでさまざまなテーマ型ファンドが登場してきました。古くは1984年頃に、「バイオブーム」があり、バイオ関連銘柄に投資するバイオファンドが登場しました。そして80年代の後半にかけては、ひたすら日本株ファンドばかりが設定されるわけですが、これも見方を変えれば、「日本株」という、過去最高値をどんどん更新し続けていた日本の株価をテーマにしたテーマ型ファンドであると言えなくもありません。

 そして90年代に入って日本株は急落。バブル経済が崩壊したわけですが、その後も折に触れて、さまざまなテーマ型ファンドが登場しました。90年代以降のテーマ型ファンドのなかでも高い注目を集めてきたものとしては、次のような投資信託があります。

1992年~1993年 香港ファンド
1998年~2000年 ITファンド
1999年~2000年 第一次エコファンド
2002年~2003年 社会貢献ファンド
2007年~2008年 第二次エコファンド 水関連ファンド
2010年~ クラウドコンピューティング 漁業権 シェールガス バイオ

 このように、さまざまなテーマが浮上しては、どんどん新しいテーマを求めて移ろっていきました。

 思うに、テーマ型ファンドは、株式市場において、そのテーマが一番物色され、株価がまさにピークを付けようというところで新規設定されるパターンが多いようです。言うまでもなく、株式市場での関心が高まっているときというのは、世間一般にもニュースなどで取り上げられていることが多く、誰もがそのテーマについて、多少の関心を示しているからです。その局面で、タイミングよく設定されれば、投資信託にたくさんお金が集まるという算段です。

 そう考えると、テーマ型ファンドはいくら「長期的なテーマです」といっても、実は短期売買向けのファンドであると考えることができます。つまり、新規設定が相次いでいるときに買い、うまく基準価額が値上がりしたら、あまり欲張らずにさっさと解約して利益を確定させる。そんな運用が適しているといえるでしょう。ですからテーマ型ファンドは、何をテーマに掲げたとしても、短期売買の投資信託なのだと割り切る必要がありますし、長期的な資産形成を行なうのであれば、最初からはずしておいたほうが良いファンドともいえます。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


中野晴啓(なかの・はるひろ) [セゾン投信社長]

1987年明治大学卒、クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資金運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用のほか、外国籍投資信託をはじめとした海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信(株)を設立、2007年4月より現職。現在も全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にするための活動とともに積み立てによる長期投資を広く説き続け、「積立王子」と呼ばれている。著書に『投資信託はこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)、『預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている』(講談社+α新書)ほか多数。


投資信託はこの9本から選びなさい

今、日本で個人が買える投資信託は全部で3376本。 かなり多いため、その中から本当にいい商品を選ぶのは困難な状態です。 しかし、「今、手元にお金がなくても、積立の長期で将来資産を作れる 投資信託」は、3376本中、たった9本だけだった!銀行、証券会社の 「販売手数料」稼ぎの道具として扱われている投資信託の裏事情も含めて 詳しく解説する衝撃的な連載!これでもう迷わずに投資信託が買える!

「投資信託はこの9本から選びなさい」

⇒バックナンバー一覧