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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

消費増税8兆円を株価上昇で穴埋めできるか
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第108回】 2013年8月28日
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 消費税率を8%に引き上げて、景気が腰折れするかどうかに注目が集まっている。多くの人の脳裏から、1997年4月の消費税率の引き上げで景気が腰折れしたトラウマを消せないのだから、悩ましいのは仕方がない。しかし、経済政策には実験ができない以上、最後は政治が腹をくくるしかない。

 できることは、増税と他の恩恵のプラスとマイナスを比較考量することである。そこで筆者は、税負担増に対してそれを穴埋めできるような購買力の増加が、消費者にもたらされているかを確認してみることにした。

 2014年4月に予想される負担増の金額は年間8.1兆円。ここに高齢者向けの特例水準の解消(▲1.0兆円)と厚生年金・国民年金の保険料引き上げ(▲0.8兆円)を加えると、年間負担増は合計▲9.9兆円に及ぶ。

家計金融資産は58兆円の時価増価

 それに対して、家計の購買力の変化はどうか。考えられる変化は、(1)勤労所得増、(2)利子・配当などの金融所得増、そして(3)株式などの金融資産のキャピタル・ゲイン(値上がり益・円安による時価増加)の3つである。

 データを確認すると、(1)2012年7月~2013年6月の雇用者報酬額は、ほぼ横ばい(前年比0.1%増)。利子・配当額は規模が12兆円弱。2012年度の銀行決算資料では、預金利息は前年度▲13.8%の減少になっている。

 2011年度の家計所得(フロー部分)は305兆円と、1997年度370兆円よりも2割方減少しており、▲9.9兆円の負担増(所得比▲3.2%増、1997年のときは▲2.3%増)はきついように思える。

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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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