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どんな歯車でも作りだす
小型ホブ盤専業メーカー 北井産業

森野 進 [経済ジャーナリスト]
【第3回】 2009年5月7日
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 ホブ盤は歯車の歯の加工に最適な機械。その小型分野に特化し、50年以上の長きにわたり機械を作り続ける。近年では性能と簡便さが評価され、従来、大きな機械を使用してきた自動車メーカーなどからの注文も急増している。

 北井産業は小型ホブ盤作りに特化した機械メーカーである。ホブ盤とは、歯車作りには欠かせない歯切り加工を行なう専用機械のことで、金属や樹脂材料を機械にセットし、ホブと呼ばれる工具で削って歯形を作る。なかでも、小さな歯車を作るのに適しているのが小型ホブ盤だ。

 ホブの外観は、松ぼっくりに似ている。横一列に10~20のカッターと溝が設けられ、それにより材料を削る。ホブが1回転すると1個の歯形ができるので、歯形が15個の歯車なら、ホブを15回転させれば1周の歯形が完成する仕組みだ。

 松ぼっくりのように見えるのは、横列と同様のものが縦に7~8列並んでいるため。これは、使用していた横列のホブの切れ味が悪くなったとき、ホブを外さなくても、すぐに別の新しい刃に移動し、使えるようにするためだ。

 同社は1953年に発売した1号機以来、50年以上にわたり小型ホブ盤のみを作り続けている。「世界中を見渡しても小型専業は当社だけ」と北井正之社長は言う。小型路線を貫くのは、大手機械メーカーとの競合を避ける狙いもあるが、「中小の加工会社や学校教材などの役に立ちたいと考えた創業精神を受け継ぐため」(同)である。

 主な用途は、小型モータの減速機をはじめ時計や釣具のリール、ダイヤルゲージ(計測器)など。歯科医が治療に使うドリルの歯車も、多くは同社のホブ盤で作られている。

 ホブ盤の特徴は、加工物の円周に等分の形状を作るものであれば、どんな歯形の歯車でも作れる点だ。

 最も一般的なのはインボリュート形状という楕円に近い歯形だが、ホブの溝の形状を変えることで、三角や丸、四角の歯形を作り出すことも可能だ。歯形の大きさや形状を変えるときはホブを交換するが、歯数の増減やピッチの変更だけなら、ホブはそのままでギアだけ交換すればよい。

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森野進 [経済ジャーナリスト]

日刊工業新聞社の記者、雑誌編集者を経て独立。中堅・中小企業の取材をライフワークとして活躍。著書に『女性発明家の着想に学ぶ』(発明協会)、『未公開ITベンチャーの躍動』(共著・オーム社)、『明日のものづくり』(共著・日経BP社)などがある。


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