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2030年のビジネスモデル

障がい者の月給を10倍にする店

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第9回】 2013年9月26日
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障がい者を積極的に雇用するだけでなく
月給を10倍にする店づくりへの挑戦

 宅急便の創始者、ヤマト運輸の小倉昌男さんが、障がい者雇用のために15年前に始めたスワンベーカリー。この店では、世間で月給1万円以下に過ぎなかった障がい者の賃金を10万円にすることを目標に、現在、全国27店舗、354人の身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者が働いている。

写真手前がスワン・ベーカリー、奥にスワン・カフェ

 障がい者の働く場所は一般の企業のほかに、共同作業所や小規模授産施設が挙げられる。共同作業所で作られるものは、近隣の企業や店舗が善意で販売しているほか、福祉バザーなどに出品されることが多い。また共同作業所は障がい者の就労開発を目的とはしているが、実態はデイケアセンターのような機能を担っており、障がい者が自力で稼ぎ、生きていくことを後押しする場には成り得ていない。1ヵ月の給料が1万円以下という給与水準の背景には、以上のような実態がある。

 福祉はカネ儲けではない。しかし障がいが重い人ほどお金が必要であり、儲かる仕事、付加価値の高い仕事を作り出さねばならない。所得補償に依存しない解決策を生み出さねばならない。また、障がい者自身や親は「この人生をなんとかしなくてはならない」という痛切な問題意識を持っており、やりがいのある仕事、社会と関わる場を作ることが必要と考えている。

 彼らが稼げる仕事をつくることは、彼らの生活を支えるだけではなく、生きる意欲を高めることにも繋がる。しかし、そのような仕事、場は、そう簡単にはない。

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齊藤義明[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

facebookページ:https://www.facebook.com/yoshiaki.saito.1042

 


2030年のビジネスモデル

未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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