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外国企業の投資を狙う日本の「国家戦略特区」は
中国・韓国の改革開放戦略に対抗できるか

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第135回】 2013年9月27日
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 “特別区域(特区)”という言葉がクローズアップされている。最近は「国家戦略特区」という言葉を耳にする機会が増えた。日本経済新聞の「きょうのことば」によれば、「大胆に規制緩和や税制優遇を進めて経済の底上げを狙う制度」とある。この「大胆に」というのがキモだ。特区そのものが問われているのは、ある意味、その“大胆さ”であり、 すなわち“本気度”であると言っても過言ではない。

 以前から、日本に“特区”は存在した。1998年以降、沖縄に経済特区の設立が集中し、「特別自由貿易地域」をはじめとした金融や情報通信産業の特区が設置された。その後、2002年9月の小泉政権発足とほぼ同時期に、規制緩和を中心とした「構造改革特区」が、そして野田内閣時代の2011年末、それに税制・金融・財政上の支援を加えた「国際戦略総合特区」が7ヵ所指定された(*1)

 他方、伊藤白氏による「総合特区構想の概要と論点」によれば、「世界銀行のレポートは日本で一般に経済特区と認識されている構造改革特区や沖縄の各種経済特区を経済特区としてカウントしていない」とある。

 2008年時点で、135の国と地域に約3000の経済特区があるようだが、日本の経済特区は世界各国で展開する経済特区のイメージとは異なるようであり、また、規制緩和に相当な重きを置く先進諸国の“グローバルスタンダード”とは、かけ離れているようでもある。

 さらに、私たち日本国民が“特区”と聞いてもあまりピンと来ないのは、多数の規制改革が実現したとはいえ、経済的な効果がいまひとつ伝わってこないからでもある。

 国からの財政支援が皆無だった「構造改革特区」から一転、民主党政権時代の国際戦略総合特区には1特区当たり20億円の補助金を出したが、その経済効果は不明だ。バラマキ、ハコモノ色が強い特区構想に、世間からは「成長戦略の本質は、高度経済成長期以降まったく変わり映えしていない」との批判も上がる。

 ちなみに過去を振り返ると、例えば、高度経済成長期の日本には「新産業都市建設促進法」(1962年)や「工業再配置促進法」(1972年)に見るような“工業の分散化政策”が存在した。当時の地方自治体は税収入が乏しかったため、国家予算による手厚い支援策が施されたわけだが、そこには得失両面の結果が残された。

(*1 7ヵ所は、北海道、茨城県、東京都、京浜臨海部、愛知県・岐阜県、京都府・大阪府・兵庫県、福岡県)

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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