米国向け輸出という稼ぎ方は限界に!?「トランプ関税時代」の新たな成長戦略Photo:Scott Olson/gettyimages

トランプ関税、部分的軟化はあっても継続!?
米国市場の開放度、元には戻らず

 米国のトランプ大統領は4月2日を「解放の日」と称し、各国からの輸入に高率の「相互関税」を課すと宣言した。相互関税は各国共通分の10%と、国ごとに異なる上乗せ分からなる。日本は上乗せ分を含めて24%だ。

 この上乗せ分は、90日間の猶予期間の交渉次第では、縮小・撤廃の可能性がある。145%という対中国の法外な関税率も、5月12日に米中合意の共同声明で、「90日間」は115%引き下げて30%(中国は115%引き下げで10%)にすることが発表され、現実的な落としどころが探られつつある。

 しかし、10%の各国共通分は残る可能性が高そうだ。相互関税とは別の枠組みで、自動車に25%、鉄鋼やアルミに10%の関税もすでに課されており、半導体や電子機器への関税も検討中だ。

 最終形がどうなるにせよ、従来の常識では考えられない「トランプ関税時代」に突入したといっていい。

 トランプ政権は、今の国際秩序が米国にとってフェアではないと主張する。米国が他国の分まで安全保障のコストを負担している上、不当なドル高により貿易赤字が続いているとの考えだ。相互関税の「相互」という表現には、それでやっと「おあいこ」になるという被害者意識がある。

 この言い分には世界中が理不尽と感じるだろうが、米国内では一定の支持がある。トランプ政権の関税政策は、部分的な軟化はあっても基本的に継続されそうだ。

 日本は、米国市場の開放度がもはや元には戻らないという前提で、新たな中長期の成長戦略に本腰を入れて取り組む必要がある。