これまで、実力をフルに発揮するのをじゃまする心の中の「妨害者」、これに対抗する「賢者」とその強化法を紹介してきた。今回は「妨害者」を弱める方法を中心に、賢者の原動力となっている「PQ脳」の強化法を提案する。

PQを改善するための3つの方法

 すでに述べたとおり、妨害者モードにあるか賢者モードにあるかは、脳内の別々の領域や機能と関係している。妨害者の主たる原動力となる脳の領域は、もともとは肉体的・感情的な生き残りを目的としていた領域である。本書『実力を100%発揮する方法』ではこの領域を「生存脳」と呼ぶ。一方、賢者の原動力となっている脳の領域は全く異なる。これを「PQ脳」と呼ぶ。こうした2つの脳領域の関係を踏まえて、PQを増強するための3つの方法を提案しよう。すなわち、1. 妨害者を弱める、2. 賢者を強める、3. PQ脳の筋力を強化する――の3つの方法である。

方法1:妨害者を弱める
妨害者を弱めるには、まず妨害者に特有の思考パターンや感情パターンを見分け、それがあなたにとって有益でないことをはっきり理解することだ。妨害者はたいてい自分を正当化し、あたかも味方であるかのように、極端な場合にはあなた自身であるかのようにふるまう。

ここでは、そうした仮面をはぎとり、その策略をあばいて、妨害者への信頼やあなたに対する支配力を弱めていく。妨害者を弱めるには、妨害者の思考や感情が現れるたびに、よく観察してラベル付けするだけでいい。例えば「おやおや、また裁判官が現れて、おまえは失敗すると予言している」とか、「また仕切り屋が現れて心配を始めた」というように。

方法2:賢者を強める
賢者を強めるには、賢者の視点に切り替え、試練に出合うたびに5つの賢者パワーを借りて対処してみることだ。自分の中に確かに賢者がいて、妨害者が勧めるよりはるかに優れた解決法を教えてくれることがわかるだろう。本連載の第3回を参照してほしい。

方法3:PQ脳の筋力を強化する
PQ脳の筋力を増強するには、PQ脳と生存脳の違いを知らなければならない。長年使われずにいたPQ脳の筋肉は未発達なままだが、生存脳の筋力はステロイドで増強されている。本書で紹介する方法を使えば、PQ脳の筋力を短期間で楽しく鍛えることができる。

 PQ脳を刺激することは妨害者の原動力となっている生存脳を弱めることにもなる。そして賢者の視点を用いたり、妨害者の考え方や感じ方を観察・ラベル付けしたりすると、PQ脳もまた自動的に活性化され、強化される。