アップルの新型iPhone5sと5cは、発売後最初の週末で900万台を売り上げたというが、その内訳は高価格モデルの5sの方が圧倒的に多かったという調査結果が発表されている。

 アップルは、新型のiPhoneが発売されるごとに「ウン100万台」売り上げたことをいつも喧伝してきた。確かにこの数は上昇する一方で、iPhone4(2010年)では170万台、iPhone4s(2011年)は400万台、iPhone5(2012年)は500万台だった。それが、今年は2モデルで900万台。アップルの人気は健在というわけだ。

 ところが、調査会社のCIRPによると、その900万台のうち5sが占める割合は64%、廉価モデルの5cは27%、残りは安くなった4sの9%という。つまり、iPhone5sはiPhone5cの2倍以上も売れているということだ。

熱心なファンは“高級品”に飛びつく

 iPhone5cは、高価格、高品質製品を売りにしてきたアップルが初めて出した廉価版。すでに飽和状態にあるiPhone市場を拡大するための新しい試みとして敢行されたのだが、結果はやはり高価モデルにこそアップルファンは飛びつくという事実である。

 アップルはすでに5cの製造を半分に減らしたとされているのだが、問題は一体5cはアップルにとって失敗だったのかということだ。5cは、価格は安くても5sと同等の利幅率が仕組まれた製品。これが予想ほど売れなかったのは、アップルにとっては大きな計算違いではないかと言われている。

 一般の消費者は「安くてもアップル」ではなくて、「安いのならば、他社の製品」で満足ということかもしれない。買い手を増やそうとする戦略が間違っていたということだ。