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山田厚史の「世界かわら版」

悪知恵で自滅したみずほ銀行
教訓は「法務の機能不全は命取り」

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第47回】 2013年10月24日
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 暴力団融資を隠し、金融庁に虚偽報告していたみずほ銀行は28日、事件の顛末を第三者委員会の報告書にまとめ金融庁に提出する。洗いざらい真実を明らかにし、失われた信用を取り戻す第一歩を踏み出せるか。ポイントは3つある。

①チェック体制はなぜ働かなかったのか。
②「担当役員止まりになっていた」というウソはいかにして生まれたのか。
③佐藤康博頭取の責任をどう考えるか。


 金融庁のみならず顧客や株主が納得できる説明が必要だ。

金融庁についたウソが
振るっている

 真っ先に問題になるのが「コンプライアンスの軽視」である。法務・内部監査という銀行の自己制御システムが働かなかった。

 金融庁についたウソが振るっている。情報を止めていた「担当役員」というのがコンプライアンス(法務)担当役員、とみずほは説明した。これは驚きだ。

 個人融資の現場を担当する役員が隠した、というならまだ話は分かる。恥ずかしいことに暴力団に融資していたことが後で分かった、取りはぐれても信販会社から回収できる、隠しておこう。そんな風に処理し、法務に伝えなかった、というならまだ納得がいくが、「コンプライアンス担当が隠す」という設定が理解不能だ。

 法務は役員だけではない。スタッフがいて、法律に触れる事案を指摘して是正させることは日常業務である。その法務が自分たちの仕事を自主的に止める、ということは組織の自殺行為だ。普通あり得ない。

 コンプライアンスが機能しないのは、その上にいる誰かが「この事案は手をつけなくていい」と指示(あるいは阿吽の呼吸による示唆)したか、よほどの事情があったとしか思えない。「法務担当役員が情報を止めた」という説明がもっともらしくなされた、ということは「法務なんてお飾りでしかない」という実態がみずほ銀行にあったからだろう。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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