日本シリーズ第2戦は東北楽天が2-1で巨人を下し、1勝1敗のタイに戻した。

 勝利の要因はいうまでもなく「負けないエース」田中将大の好投だ。第1戦は15勝ルーキー・則本昴大が8回2失点の好投を見せたにもかかわらず0-2で落とした。戦力は巨人が圧倒的に上。しかも日本シリーズ初挑戦の楽天ナインは雰囲気に飲まれているかのように攻守に精彩を欠いている。第2戦を田中で落としたら、4連敗もあり得ただろう。

 田中もそれを感じていたはずで、レギュラーシーズンでは勝負どころでしか見せなかった鬼の形相を序盤から見せ「絶対に先に失点しない」という気合の入った投球をした。崖っぷちで踏み止まろうとする、まさに鬼気迫るピッチングだった。

巨人ファンが多かった東北で
スタンドがエンジ色に染まった

 それと、この2戦を見てちょっと驚いたのは本拠地クリネックススタジアム宮城が楽天ファンでほぼ埋め尽くされていたことだ。ひと昔前は阪神の甲子園、巨人の東京ドームなど一部の球場を除いてレフト側や3塁側スタンドにはそれなりにビジターチームのファンがいた。その後、福岡ソフトバンクや北海道日本ハムが地元密着の球団運営を行い球場全体が本拠地チームのファンで埋まるようになったが、昨年までの楽天はそこまで行っていなかった。

 加えて東北は昔から巨人ファンが多い地域。巨人との日本シリーズなら、レフト側や3塁側スタンドには巨人カラーのオレンジに染まる一帯があると思っていた。ところが、それはレフト側のほんの片隅だけであり、球場の9割がたは楽天のチームカラー、クリムゾン・レッド(エンジ)で埋め尽くされていたのだ。

 楽天のユニフォームの左そでには「がんばろう東北」のワッペンが縫いつけられている。阪神・淡路大震災が起こった1995年、オリックス・バファローズは「がんばろうKOBE」のワッペンをつけて戦い、リーグ優勝した。このメッセージを身につけて戦うことで被災の痛手から立ち直る力になろうという意味で、楽天のそれは同様に2011年3月の東日本大震災に対するものだ。オリックスに比べ2年遅れたが、球団創設初年度は38勝しかできなかった弱小チームが、ついにリーグ優勝を果たした。「がんばろう東北」のメッセージとともに戦い、その目標を達成した。